Synergyでは、動作保証されたソフトウェアパッケージ「Synergy Software Package:SSP」が提供される。このSSPを補完するアドオンソフトウェアとして、ルネサスが販売する「Qualified Software Add-On(QSA:動作保証ソフトウェアアドオン)」と、パートナー企業が販売する「Verified Software Add-On(VSA:検証済みソフトウェアアドオン)」を用意している。
現在、IoT向けのセキュリティサービスを提供するIcon Labsなど、米国のパートナー企業3社がVSAを提供しているが、2016年第2四半期からは、日本と欧州のパートナー企業5社のVSAが加わる。ビルディングオートメーション用の通信規格である「BACnet」向けの製品を手掛けるドイツCS Labや、CANの上位層規格である「CANopen」に対応する製品を手掛けるドイツportなどだ。その他、セキュア接続やクラウドサービス分野のVSAが含まれるという。
また、欧州では、イタリアのBFG EngineeringやオランダのMuco Technologiesなど、13のIDH(Independent Design House)がSynergyをサポートする。
Synergyの開発プロジェクトを始めたRenesas Electronics Americaのプレジデントを務めるAli Sebt氏は、2015年10月に米国で開催されたルネサスの開発者向けイベント「DevCon 2015」(10月12〜15日、カリフォルニア州オレンジカウンティ)でEE Times Japanのインタビューに対し、IoT機器向けのプラットフォームを提供することで「半導体業界において“Apple”のような存在になることを目指したい」との個人的な見解を語った*1)。そのためにはSynergyのエコシステムの拡大が不可欠だが、VSAを提供するパートナー企業が増えるだけでなく、IDHがSynergyをサポートしたり、IAR SystemsがSynergy専用の統合開発環境「EWARM-RS」を発表*2)したりするなど、エコシステムは確実に成長しているようだ。
*1)関連記事:「半導体業界の“Apple”を目指す」ルネサス
*2)「EWARM-RS」:「IAR Embedded Workbench for ARM(EWARM)-RS(Renesas Synergy)」。「embedded world 2016」で発表されたが、βバージョンは既にリリースされている
SSPのバージョンアップも行われ、「SSP v1.1.0」が発表された。RTOSの「ThreadX」と「USBX」を最適化して、64Kバイトとメモリ容量が小さいS124シリーズでも効率的に動作するようになっているという。SSP v1.1.0のプレビュー版は2016年2月末に、公式版は同年4月に提供を開始する予定だ。
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