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GoogleのAIに望むこと――“人間を賢く”囲碁対局では3連勝したが(2/2 ページ)

» 2016年03月18日 09時30分 公開
[Junko YoshidaEE Times]
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“スマート化”に覚える違和感

 このような現代社会において、GoogleのAIが囲碁の世界チャンピオンに勝利する*)ことはショックを受けるようなことなのだろうか。私たちは皆、AIが勝利するのは時間の問題だということを分かっていたはずだ。

*)2016年3月14日(米国時間)、第3局まで連勝したAlphaGoは、第4局でLee氏に敗北した。

 GoogleのDeepMindチームが囲碁の勝負に勝ったとしても、別に驚くようなことではない。世間がこの対局の結果に熱い反応を示さないのは、当然のことだ。

 人間とロボットの戦いは、映画や小説の中でも繰り広げられている。架空のストーリーながら、時として真実も描かれる。少なくとも、「人間は、ロボットが次にどんな勝負を挑んでくるのかにおびえている」という部分に関しては真実といえるだろう。

 最近のハイテク業界では、あらゆるものをスマート化させる技術の話題が目立つ。スマートホーム、スマートカー、スマートウォッチ、スマートトイレ……何でもかんでも“スマート化”である。“スマートではないもの”の話は聞かない。筆者の身の回りのモノは全て、どんどんスマートになっている。むしろ、スマートになっていないのは筆者くらいだ。

 だがふと、疑問に思う時がある。われわれは、モノをスマート化できるほど、スマートなのだろうか、と。人間は、(家事でも運転でもそうだと思うが)何か物事を行う際、自分でやらなければ覚えないし、その物事の仕組みも学ぶことができない。スマート化によって、こうしたスキルを失う可能性は否めないのだ。物事の仕組みがまったく分からなくなる日が来てしまうのではないかと思うと、怖さも感じる。AIには、“われわれが”スマートになれるように進化してほしいものだ。

 GoogleのDeepMindは、この考えをどう思うだろうか。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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