Maxim Integrated Productsは2016年3月、今後、普及が見込まれるSFP28光モジュールを低コストで実現できるドライバ内蔵型トランシーバーICの量産を開始した。
Maxim Integrated Products(マキシム インテグレーテッド プロダクツ/以下、Maxim)は2016年3月、伝送速度25Gビット/秒(bps)世代の光モジュール「SFP(Small Form factor Pluggable)28光モジュール」向けトランシーバーIC(型番非公開)の量産出荷を開始した。現行の10Gbps世代「SFP+光モジュール」と同じデバイス構成で25Gbpsクラスの高速伝送を実現できるという特長を持つ。「現状、SFP+よりもビット/秒当たりのコストを低減したSFP28光モジュールを実現できる可能性のある唯一のトランシーバーICだ」(同社)とする。
サーバの相互接続や無線ネットワークのフロントホールのインタフェースは、取り扱いデータ量の増大に伴い高速化が進んでいる。これらの用途では、現行の10Gbpsクラスの伝送技術から、25Gbpsクラスの伝送技術への移行が検討されている段階にある。
それに伴い、これらの用途で比較的長い距離の伝送を行う場合に用いられる光伝送用の光モジュールも、10Gbps世代のSFP+に代わる25Gbps世代のSFP28の仕様が定められ、実用化段階にある。
ただ、SFP28がSFP+にとって代わって本格普及するには、いくつかの課題を抱える。その中でも最大の課題はコストだ。現状、SFP28光モジュールの価格は、SFP+よりも2.5倍以上高く、ビット/秒当たりのコストが増大してしまっている。すなわち、SFP28を使うよりもSFP+を2個、3個と使用した方が、安くついてしまうのだ。
SFP28のコストが高くなる理由は、25Gbps対応のレーザーが高価になるなどの要因とともに、SFP+とデバイス構成が変わってしまう点にある。
SFP+では、送信用光デバイスを駆動するドライバ機能は、トランシーバーICに内蔵されてきた。しかし、SFP28では、光デバイスとフレキシブル基板などで接続された基板上に実装されるトランシーバーICにドライバ機能を持たせると、インピーダンス制御などが困難で十分な信号品質を確保できず、光デバイス近くにドライバ機能を搭載せざるを得なくなっていた。そのため、これまで製品化されてきたSFP28光モジュールは、「光デバイスを実装するトランスミッタ光サブアセンブリ(TOSA)にドライバICが搭載される、SFP+とは異なるアーキテクチャ、デバイス構成が採用されてきた」という。
ドライバの外付け化に伴う搭載部品数増に加え、ドライバという新たな熱源の追加でTOSAの熱対策のさらなる高度化を招き、さらにはSFP+とは異なるテストパターン構築なども必要となる。TOSAのドライバICの存在が、モジュールとしての製造コストを大きく引き上げる要因になった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.