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エリクソン、IoTビジネスのパートナーに「MWC 2016」レビュー(2/3 ページ)

» 2016年03月29日 09時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

 LTEなどのセルラーシステムを使った、マッシブIoT(セルラーIoT)の動向と同社の対応についても触れた。3GPP(3rd Generation Partnership Project)ではMTC(Machine Type Communications)と呼ばれ、カテゴリーごとに仕様が共通化されている。さまざまな用途に展開される大規模なIoTシステムに適した「LTE Cat-M1」の仕様が2016年3月にほぼ固まったという。上り、下りともに最大通信速度は1Mビット/秒で、周波数帯域幅は1.4MHzである。モデムチップの価格は5〜10米ドルを目指すことにしている。

MTC機能をカテゴリーごとに比較した表 (クリックで拡大) 出典:エリクソン・ジャパン

 これとは別に、低ビットレートでも対応可能なIoT用途向けの仕様「NB(Narrow Band)-IoT」も策定中で、「2016年6月には仕様が固まる」(藤岡氏)見通しだ。最大通信速度は上り、下りとも100kビット/秒程度となる。特に、DRX(Discontinuous Reception:間欠受信)の間隔を長くすることや、PSM(Power Saving Mode)との併用などにより、機器に内蔵された電池の使用時間をさらに伸ばし、10年以上の電池利用を可能にする仕様となる予定である。

「SW17A」で大量IoTに対応

 既存のLTE基地局に搭載することで、LTE Cat-M1やNB-IoTといった仕様に対応できるようにするのが同社のソフトウェア「SW17A」である。展示ブースでは、Intel製モデムチップなどを用いてNB-IoTの実験を行い、カバーできる通信領域(面積)が従来に比べ7倍に拡張できることを示した。

カバーできる通信領域(面積)が従来に比べ7倍に拡張できることを示したNB-IoTのデモ (クリックで拡大) 出典:エリクソン・ジャパン

 LTEのデータスピードを進化させる技術として、「Gigabit LTE」や「クラウドRAN(Radio Access Network)」「Ericsson Lean Carrier(ELC)」などを開発し提供している。Broadcomと共同で行ったデモでは、3つの通信帯域を束ね、4×4 MIMO及び256QAMを適用した。これによって1Gビット/秒のデータレートを達成したという。2016年後半にはこれらの機能がシステムに組み込まれる予定だ。

Broadcomと共同で行ったデモで、データレート1Gビット/秒を実現した (クリックで拡大) 出典:エリクソン・ジャパン

 「ELCの機能により、基地局から送信される参照信号を最大80%削減することができる。これによってセル間の干渉を軽減でき、これまで64QAMしか利用できなかった場所でも256QAMを適用することができ、スループットの向上につながる。すでに韓国では256QAMが商用化されている」(藤岡氏)という。

 クラウドRANは、「分散型RAN」や「集中型RAN」「Elastic RAN」「仮想化RAN」などを取り込んだ包括的なアーキテクチャである。特に、ベースバンド処理の一部を専用のハードウェアではなく、汎用サーバで実行する。高い処理性能と周波数効率及び柔軟なシステムを実現することが可能となる。

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