ここからは、運用評価試験に参加した3社のボディースキャナーそれぞれの特長を紹介する。L3コミュニケーションが展開する「ProVision ATD」「ProVision 2」は、ボックス型のボディースキャナーである。検査機器の中にあるミリ波照射部分が動くことによって、被験者は静止したまま検査することが可能になっている。
また、他の2社はECACのみの準拠に対して、L3コミュニケーションのボディースキャナーはTSA、ECACともに準拠。既に世界の空港で数百台実運用されており、導入実績が多いことも優位点として挙げられるだろう。
スミス ディテクションの「eqo」は、L字型のボディースキャナーとなっている。他の2社と違い被験者が360°回転する必要があるが、その分設置面積が少ないのが特長だ。オープンなスペースに設置されるため、検査側もスムーズに検査できるとする。
同社は「360°人が回転することにより、体の側面部分まで検知できるため死角がない。そのため、高い検知性能/スループットを実現できている」と語る。
ローデ・シュワルツが展開する「QPS200」は、他の2社と比較して周波数の高い70G〜80GHz帯の車載レーダーを活用している。同社は、「QPS200には、自動車メーカーに採用されている品質の高い車載レーダーをそのまま活用した。この車載レーダーには、当社が測定器で培ってきたノウハウが詰まっている」と語る。
周波数は高いほど波長が短くなり、より細かい部分まで検知が可能だ。そのため、QPS200は分解能2mmを実現している。他の2社のボディースキャナーは検査時に両手を挙げる必要があるが、高い分解能によって、両手を挙げない楽な姿勢での検査ができる。
同社は、「当社のボディースキャナーの課題としては、航空業界への参入企業として、“新参者”という点が挙げられる。今回の運用評価試験を1つの足掛かりとして、空港向け製品を扱う企業との協業を進めたい。また、イベントやコンサートなどの高いセキュリティが求められる市場への展開も考えている」と語った。
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