2016年4月に最大で1万2000人を削減する計画を発表したIntel。それに伴い、モバイル機器向けSoC(System on Chip)の「Atom」シリーズを終了する。
Intelは、2016年4月19日(米国時間)に発表した大規模な人員削減計画を進めていく中で、これまで苦戦が続いていた「Atom」シリーズを終了することにより、スマートフォン/タブレットなどモバイル機器向けのSoC市場から撤退していく考えであることを明らかにした。廃止予定のAtomチップとして、「SoFIA」「Broxton」「Cherry Trail」(いずれも開発コード名)などを挙げている。
同社のCEO(最高経営責任者)であるBrian Krzanich氏は、最近投稿したブログの中で、「当社は今後、クラウドやIoT(モノのインターネット)、メモリ/プログラマブルソリューション、5G(第5世代移動通信)、ムーアの法則などの分野に注力し、真正面から取り組んでいく考えだ」と述べている。
モバイル向けSoCは、これらの注力対象分野から外されたのである。
Intelの広報担当者は、「これまでSoFIAとBroxtonに充ててきたリソースを、より高い利益率と戦略の進展とを実現可能な製品へ移行させていく考えだ」と述べている。
同担当者は、以下の2点について確約している。
スマートフォン/タブレット市場における需要の低迷や、過酷な価格競争などを考慮すると、Intelがモバイル向けSoCをめぐる争いからの戦略的退却を決断したのも、当然のことなのかもしれない。
Intelは、コネクティビティ事業を諦めたわけではない。
半導体市場アナリストであるPatrick Moorhead氏は、EE Timesのインタビューに対し、「Intelには、モビリティ関連のさまざま要素がある。廃止予定のAtomシリーズの他にも、LTE対応スマートフォンやタブレット、PC向けのモデム『7000シリーズ』などもある。同社は、今後もモデム開発チームを維持していくとみられる」と述べている。
ただし同氏は、「同社が、SoCとモデムを組み合わせて、どのような戦略を展開していくつもりなのかは分からない。また、ローエンドタブレットに関する戦略についても不明だ」と付け加えた。
米国の市場調査会社であるForward Conceptsでプレジデントを務めるWill Strauss氏も、Moorhead氏の見解に同意し、以下のように述べている。「Intelは、モバイル市場から完全に撤退するとは明言していない。同社には現在、実証済みのマルチモード4Gモデムとx86アプリケーションプロセッサがある。ただ問題なのは、これらに対する大口顧客を確保できていないという点だ」。
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