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日本は「子どもの人工知能」で世界と戦え「GoogleやFacebookに勝つのは厳しい」(2/3 ページ)

» 2016年05月10日 11時30分 公開
[庄司智昭EE Times Japan]

5年、10年先を見据えるのは基礎が重要

安宅氏 松尾氏の話では、GoogleやFacebookと正面衝突するのは難しいとの話があった。他の方々は日本に必要なこととして何が必要と考えるか?

画像はイメージです

杉山氏 5年、10年先を見据えてやるには基礎の部分をおさえることが重要と考える。一般的に、人工知能を魅力的な存在として捉える人が多い。実際に研究者は何をしているかというと、数式を書いて、プログラムを書いてと地味なこと。世の中の見えている部分と、実際に研究者が行っていることにギャップがある。

 GoogleやFacebookの研究者は、私から見ても「一体何の役に立つのだろう」と思うほど数学的なことを研究している。しかし、利益を上げている会社はそういった数学のプロフェッショナルを引き抜いて、次のビジネスを創っている。日本でも基礎を学んだスーパースターが出てこなければ、5年後、10年後が危ないのではないか。

辻井氏 必ずしもGoogleやFacebookに追従する必要はないと考えている。むしろ、日本ができる新しいことを組み上げていかなければいけない。

松尾氏 検索エンジンやソーシャルメディアを始めた企業は国内でも当時多くいた。多くの企業は、海外への進出でうまくいかなかった。ユーザーの規模で勝てないからだ。プラットフォーム系では、どうやってもこの問題が出てくるだろう。

 しかし、モノづくり系だと世界的に高品質な製品を作ることが求められていて、日本の文化とも合っている。モノづくりは日本のシェアも割と高いので、そこを起点とするのは世界でも勝てるかもしれない方法だと思っている。

「日本らしいゲームとは何か」が1つのポイント

安宅氏 柳田氏はどのように思うか。

柳田氏 こういう技術があるから、社会に役立てようという話はうまくいかないと思う。こういう社会を創りたいから、こういう技術が必要というバックキャスト的な発想でなければ難しい。ソフトウェアでは米国に勝つことができていない。だから、日本が得意とする分野で勝てるかといったら、そのような保証は全くない。

 いい加減なことを言ってしまうが、私は“おもろい社会を創るAI”を提案したい。文化とリンクしたテクノロジーとして発展させないと勝てないのではないだろうか(NICTのAI研究に関する関連記事:すでに夢の推定も、次世代AIとして研究進む“脳”)。

同シンポジウム内の講演で、柳田氏は「社会をおもろくするためのAI開発」の1つとして、“脳に聞くおもろい社会”を掲げている (クリックで拡大) 出典:NICT

鳥澤氏 私が学生のときはIBMには勝てないよなと言われてて、就職するときはMicrosoft、最近はGoogleとFacebookに変わっていった(笑)。いちいちその類いの話を気にしていても、しょうがないのではとないかいう面が1つある。

 また、強調したいのは、Googleの人工知能「AlphaGo」が韓国のトップ棋士と対戦して勝利したが、AlphaGoはロンドンのベンチャー企業が開発したプログラムがベースであることだ。私たちも歯を食いしばってやれば勝ち目はあると思っている。

安宅氏 イノベーションの世界は、常にゲームチェンジをする人が勝つ。iPodが出たときは、ソニーがポータブルプレイヤーのシェアを9割以上を持っていた。その中で、全く違うゲームを持ってきたAppleが市場をひっくり返した。

 だから、今流行っていることをただやるのは正しいとは思えない。「日本らしいゲームって何だっけ」というのが、1つのポイントだと思っている。

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