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NXP、自動運転車向けプラットフォームを公開自動運転車市場に攻勢をかける(1/2 ページ)

NXP Semiconductorsが米国テキサス州で開催中の開発エンジニア向けイベント「NXP FTF Technology Conference」で、同社は自動運転車向けのオープンプラットフォームを発表した。自動運転レベル2〜4の自動車を製造できるとする。

» 2016年05月18日 15時30分 公開
[Junko YoshidaEE Times]
出典:NXP

 NXP Semiconductors(以下、NXP)は2016年5月16日(米国時間)、同社がテキサス州で開催している「NXP FTF Technology Forum」で、新しい自律エンジン「Bluebox」を搭載した、3Dプリンタで作成された自動車を発表した。同社はこの自動運転車を、モジュール式のオープンプラットフォーム上で開発するという近未来的な手法で製造したという。

 自動運転車の開発に必要なソフトウェアとハードウェアは複雑化している。これに伴って、自動車業界が長く培ってきた、閉鎖的な開発環境を打破する必要性が生じている。

 NXPの自動運転車向け総合プラットフォームの鍵となるのは、同社が新たに開発したBlueboxコンピューティングエンジンだ。Blueboxは、レーダーやライダー、視覚センサー、オンボードV2X(車車間/路車間通信)安全システムなどの異なるセンサーノードが取得したデータを統合できるという。

 NXPでバイスプレジデントと車載マイコン/プロセッサ部門のゼネラルマネジャーを兼務するMatt Johnson氏は、「これはLinuxベースのオープンプラットフォームで、独自に自動運転車の研究開発を行っている自動車メーカーおよびティア1サプライヤーに提供する準備が整っている。メーカーは、このプラットフォームで独自のソフトウェアやアルゴリズムを開発できる。さらに、必要に応じて他社ベンダーのセンサーノードプロセッサを組み込むことも可能だ。自動車メーカーがNXP製のチップだけを使った自動車を設計するとは考えていない」と述べている。

コンセプトカーではなく、“実車”が製造できる

 Johnson氏は、最も重要なこととして「同プラットフォームは、製品としての自動運転車を製造できる」と説明した。同氏は、「同プラットフォームは、コンセプトレベルのものではなく、自動車が必要な信頼性と安全性、安全機能を備えている。スケーラブルなプラットフォームであり、自動車メーカーは自動運転レベル2〜4の商用自動運転車を独自開発できる」と説明している。

参考:米運輸省道路交通安全局(NHTSA)などが定義する自動運転レベル
自動運転レベル 概要 実現するシステム
レベル 1 加速・操舵・制動のいずれかをシステムが行う状態 安全運転支援システム
レベル 2 加速・操舵・制動のうち複数の操作をシステムが行う状態 準自動走行システム 自動走行システム
レベル 3 加速・操舵・制動を全てシステムが行い、システムが要請したときはドライバーが対応する状態
レベル 4 加速・操舵・制動を全てドライバー以外が行い、ドライバーが全く関与しない状態 完全自動走行システム

 自動車アナリストのコミュニティーではメンバーのほとんどが、自動車メーカーに対してオープンであることやセンサーフュージョン機能、機能安全および信頼性に優れていることなどから同プラットフォームを高評価している。

 ただし、アナリストらは、「人工知能(AI)ベースのマシンビジョンとデータベースマッピングは、運転手のいない自動運転車の展開に必須となる技術で課題も多い。NXPがこれらの課題に対応できるかについては疑問が残る」と指摘している。

 米国の市場調査会社であるABI Researchでマネージングディレクタ兼バイスプレジデントを務めるDominique Bonte氏は、EE Timesに対して、「NXPのプラットフォームは高度にセンサーフュージョン化されていて、最先端のADAS(先進運転支援システム)アプリケーションや未来の自動運転車に必要なカメラやレーダー、ライダーといった複数のセンサーで取得した比較データを活用している。これは、データのほとんどをマシンビジョンに頼っているNVIDIAやMobileyeの手法とは異なる」と述べている。

ADASノードにおけるNXPの各種センサー(クリックで拡大) 出典:NXP
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