Q:皆さんは「IoT」って何だと思いますか?
江端 私、“IoT”って言葉、正直よく分からないんです。
で、今回、ここには、IoTの物理レイヤーを支える会社の社長さんとスーパーエンジニアがいて、IoTの記事を世間に発信する編集者がいて、IoTを趣味で遊んできたエンジニアがいるわけですよ。こんなレアな機会、もうないと思いますので、皆さんの“IoT”に関する本音を聞かせていただきたいと思っているんです。
川野さん 私は、極めて単純に、『IPv6の世界がくる』ということだと思っています。IPアドレスがどんなモノにでも付く、モノをつなぐインフラがそろってきた、通信量も安くなってきた―― ただそれだけのことかと思っています。
江端 IoTのキラーアプリを考えなくてもよいのですか?
川野さん 日本で最初に電話が使えるようになった時、多くの人は「電話なんか、いるもんか」と考えたと思うんですよ。インターネットもそうです。同じように、IoTも「キラーアプリありき」という前提を抜きにしても、発展していくと思うんです。
小幡さん 私も江端さんと同様に、通信を使ってモノを動かすことを普通にやってきたエンジニアの1人ですので、“IoT”という言葉に特別な感情は起こりません。
あえて言えば、これまで「1人で」やってきたことを、「皆で一緒に」という点が違うかな、という点と、やっぱり「プライバシーが心配」と思うくらいです。
ここで、IoTのセキュリティに関する4人の熱い議論が始まったのですが、紙面の都合上、割愛させていただきます。
村尾さん 私は、「IoT」なるものを、無理に定義しろというのであれば、『センシングと無線』ですね―― というか、「IoT」は、それを広げたり数を増やしたりするためのスローガンみたいなものかな。
仕事がら、いろいろなメーカーの方とお話するんですけど、皆さん、「モジュールはある。通信環境もある、でも、何にに使うのか分からない」って言うんですよ。
だから、あとになって「あれがIoTだったのかな?」と気が付くような状況になったものがIoTなのかと思うのです。
江端 私は、IoTといわれても、よく分からないです。
小幡さんと同じように、昔から実際に、ネットワークを使ってモノを動かしてきました。
何十台のカメラやセンサーを取り付けたし、1億行を超えるセンサーデータの解析もしました。それを、あとから“IoT”という言葉でまとめられても困惑するだけです。
加えていうと、私は、「“IoT”を定義しないで、連呼して触れ回っている奴を見ると、後ろからどつきたくなる衝動にもかられます」 ―― が、これは黙っていました。
さて、ここの部分のインタビューを私なりにまとめてみますと、(ここ重要です)、このIoTの最前線にいて、その空気をもっとも感じられる立ち位置にいるこの4人全員が、
―― 「IoTが何か」は、自分で決めろ
と、言っているのだと思いました。
「誰かの答えを期待するな。自分で、ネットワークとモノをつないで動かせ。それがお前のIoTだ」と。
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