ローデ・シュワルツは、2016年9月にドローンの検知/監視/対策できるソリューション「ARDRONIS」を国内で展開する。ARDRONISはアンテナやレシーバーで構成され、ドローンを検知するだけでなく、操縦者の居場所を方位で特定し、電波にノイズを付加する「ジャミング」を行うことで制御不能にできる。しかし、同社によると、国内でジャミングは利用できないという。
2015年4月、首相官邸にドローンが落下する事件が起こった。けが人や建物の破損は確認されなかったが、日本テロ対策に対する弱点が浮き彫りとなり、法施行の検討が始まっている。2015年12月に航空法の改正、2016年3月17日にはドローン規制法が成立。住宅や駅前などの人口集中地区や夜間の飛行が禁止になるとともに、国会議事堂や首相官邸、原子力発電所などの重要地域で飛行が禁止となった。
しかし、法律が改正されたからといって、テロの脅威がなくなるわけではない。海外では、麻薬や武器の密輸手段やスパイ活動などにドローンが活用されたケースが既にあるという。ドローンによるテロが起こってしまいそうな時に未然に防ぐことも求められるだろう。ローデ・シュワルツが2016年9月から国内で展開するソリューション「ARDRONIS」は、このようなドローンによるテロの脅威に対して有効的である。
ARDRONISは、アンテナやレシーバーで構成されており、施設の屋上など高い場所に設置することで、遠隔制御ドローンの検索、照合、識別、方位検出、記録電波妨害を行うことができる。流れとしては、まず検出可能なエリアにあるドローン全ての信号を自動で検出し、登録されたデータベースから悪質なドローンかどうかを照合、識別する。
ドローンは、2.4GHz帯や5.8GHz帯の周波数帯無線を活用するのが一般的だが、これらの周波数帯には、Wi-FiやBluetoothの電波、電子レンジの電磁波なども存在するため、ドローンの信号だけを抽出するのは難しい。
ローデ・シュワルツ・ジャパンの第2営業統括で部長を務める津本哲哉氏は、「それぞれの信号の諸元を全て識別してデータベースと照合している。詳しくは言えないが、中心周波数が微妙に違ったり、ホッピングの仕方が怪しかったりと、電波には指紋のようにそれぞれ特徴がある。その特徴から、検出と識別を行っている」と語る。
特に、搭載されている半導体チップセットによって、電波の癖が出てくるという。
周波数バンドは、433MHz、2.4GHz、5.8GHzで設定できる。周波数ホッピングの検出は、350マイクロ秒まで対応。システムのパワーにもよるが、検出範囲は1〜3kmとしている。顧客の希望にもよるが、防御エリアにドローンが侵入したり、悪質なドローンを発見したりした場合、自動的に警報を発するといった機能を加えることができる。
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