次に検出したドローンが悪質と判断した場合、操縦者の方位特定を行う。アンテナが2つ以上設置されていれば、検出した方向の交点から操作している人物の位置を特定できる。1つのアンテナでも、電波のレベルで距離が分かるため、おおよその位置特定が可能とする。
方位特定後、悪質なドローンの電波にノイズを付加することで電波妨害(ジャミング)を行い、制御不能にすることが可能だ。対象信号にのみジャミングする「フォロワージャミング技術」を適用しているため、周辺の信号に影響を与えないという。津本氏は、「多くのドローンは制御不能になった場合、その場に着陸するか、元の場所に戻るようにプログラムされている。そのため、安全面での問題も少ない」と語る。
「当社は、防衛用の通信技術で培ってきた、電波の諸元の識別/方位特定/ジャミングのノウハウがある。計測器メーカーとして、Wi-FiやBluetoothの認証試験システムの開発もしてきた。ARDRONISは、これら2つの技術が融合されて実現している」(津本氏)
ARDRONISは、データベースに登録されていないドローンは「unkown」として表示される。設定した周波数バンド以外のドローンが検知できないのも課題といえるだろう。それに対しては、ライブラリを拡張する形で対応できるとしている。
また、国内ではNECが赤外線監視サーモカメラを利用したドローン検知システムを開発しているが、このような他のシステムにオープンインタフェースとして統合可能だ。
ARDRONISは、2016年9月に国内で発表を予定しているが、2015年にドイツで行われた主要国首脳会議(サミット)やフランス警察とトライアルが行われている。このように重要なイベントや施設で、ドローンによるテロを未然に防ぐことが期待されるが、津本氏は「電波法の関係で、国内でジャミングシステムは利用できない」と語る。つまり、方位特定まではできるが、制御不能は別の手段で行う必要があるとした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.