カーボンナノブラシは実用化すると、さまざまなデバイスの基本性能向上や、幅広い分野への適用が期待される。例えば、高い導電性と分散性により、IoT(モノのインターネット)向けに、フレキシブルセンサーや伸縮性を持つデバイスへの応用が考えられる。
電気自動車やドローンなどに向けては、キャパシターやリチウムイオン電池を想定。高い吸着性により、キャパシターは従来の半分のサイズで2〜3倍の充放電性、アクチュエータ―は従来より大きな変形量で、約5倍の応答速度を実現できるという。
IoTデバイス研究所所長の津村聡一氏は、「当社はソフトウェア側に注力しているが、これからソフトウェアだけで勝つのは、なかなか難しくなってくるのではないだろうか。材料といった深い部分の知見を生かして、盛り上がっていくIoT市場に、当社のデバイス技術を届けていきたい。これが、今後の勝ち筋になると考えている」と語る。
今後は、大学や材料メーカーなどと連携し、生成機構解明と量産化技術開発を進める。センサーやアクチュエータ―などのデバイス開発も行い、2017年度中にサンプル品を提供予定だ。これらを実現するための、パートナー開拓も進めていくとした。
記者会見では、NEC中央研究所で特別主席研究員で、1991年にCNTを発見した飯島澄男氏も登壇。カーボンナノブラシについて、「CNTは導電性は高いが、電気を多く溜めることができない。CNHは電気を多く溜めることができるが、それを取り出すのが難しい。カーボンナノブラシは、CNTとCNH両方のメリットを兼ね備えている。そのため、導電性を持った複合材やフレキシブルデバイスへの応用に期待したい」と語った。
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