Googleのシニアフェローは「SIGMOD 2016」で、ニューラルネットワークや機械学習について語った。コンピュータリソースやデータ量は十分にあるので、あとは“そのデータをいかに理解するか”が重要だという。
コンピュータビジョン、言語理解、ロボティクスを用いるアプリケーションの数が増えていることからも明らかなように、われわれは既に、ディープラーニングや大規模なニューラルネットワークとともに生きている。
GoogleのシニアフェローであるJeff Dean氏は、2016年6月28日、同年6月26日から7月1日まで米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催中の「SIGMOD 2016」で基調講演を行った。同氏はその中で聴衆に対し、現在われわれが機械学習から最も必要としているのは「理解」であると述べた。
Dean氏はSIGMODの参加者に対し、「われわれには、十分なコンピュータリソースと興味深いデータセットがある上に、そうしたデータを大量に保存できる。だが本当に必要なのは、データについて“理解”することだ」と語った。
Dean氏は基調講演の中で、機械学習とニューラスネットワークの歴史を示した他、映像や音などの形で取得する生データを用いてモデルをプログラムするためのさまざまな方法を説明した。
同氏は、スイスに機械学習センターを開設すると発表したGoogleが、機械学習をどのように具体化しているかを詳しく述べた。Googleは2015年にオープンソースアルゴリズム「TensorFlow」をリリースしたのに続き、TPU(Tensor Processing Unit)と呼ぶ人工知能(AI)用に独自のアクセラレーターチップを開発した。
Dean氏は「これらの技術を、さまざまな課題に適用する成功例が徐々に増えてきている。その結果、Googleでは、同技術を利用するチームの数が信じられないほど増えた」と述べた。
Dean氏は、Googleの音声認識チームがニューラルネットワークの利用を通じて、単語認識時のエラーを30%減少させたことを挙げた。同チームは、音声波形を用いて音や単語を判断する従来の音声認識技術を、ニューラルネットワークを利用することで一新したとしている。
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