研究チームは、高い接着力が得られた理由として、高い自己凝集力をもつ材料を開発できたことを挙げた。高い自己凝集力を引き出すため、集積しやすいV字型の分子構造を採用している。これによって、カラムナー液晶という自己凝集力の高い材料を開発することができた。しかも、分子設計の最適化により、カラムナー液晶状態を示す温度を高温領域に調整したことで、耐熱接着を実現した。
一方、液晶状態を示す温度範囲(70〜135℃)で紫外光を照射すると、V字型の分子が形を変えて平面型となる。隣の分子に近づいたものは結合し、2量体を形成する。こうして生成された一部の2量体は不純物として働き、V字型分子の集積構造を壊す。この結果、接着力の強いカラムナー液晶が崩れ、液体となった混合物は大幅に接着力が低下するという。
仮固定用の接着材料として用いる場合、少ない光量で速やかに剥離されることが望ましい。開発したライトメルト型接着材料を用いて行った評価試験では、ごく少量の使用でも紫外光により剥離することができ、光を照射した透明部材には剥離後に接着材料がわずかしか残らないことも分かった。
今回開発したライトメルト型接着材料技術は、「光液化材料を用いた仮固定接着」を大きく進展させる技術とみられている。スマートフォンなど透明な部材を高温で加工するような、さまざまな製造工程に利用される見通しだ。
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