ルネサス エレクトロニクスは、産業用イーサネット「EtherCAT」通信専用LSI「EC-1」を開発、サンプル出荷を始めた。従来のマルチプロトコル対応製品に比べて、実装面積が小さく、部品コストの低減が可能となる。
ルネサス エレクトロニクスは2016年7月、産業用イーサネット「EtherCAT」に対応した通信用LSI「EC-1」を開発、サンプル出荷を始めた。EtherCAT専用にしたことで、パッケージを小型化でき、基板への実装面積を小さくすることが可能となった。部品コストの低減にもつながるという。
同社はこれまで、産業用イーサネット向け通信LSIとして、マルチプロトコル対応の製品「R-IN32M3-CL/EC」を供給してきた。EtherCATやPROFINET、EtherNet/IP、CC-Link IEといった、複数の通信プロトコル処理を高速に実行する「R-INエンジン」を搭載したLSIである。
これに対してEC-1は、EtherCAT通信に最適な仕様とした。FPU搭載のCortex-R4プロセッサコアやEtherCATスレーブコントローラ(ESC)などを内蔵している。約10社の大手マスター機器との相互接続性も確認している。
パッケージは外形寸法が12×12mmの196端子FBGAで供給する。サンプル価格(税別)は1500円を予定している。マルチプロトコル対応製品に比べると25%程度は安価となる見通しだ。量産開始は2017年5月を予定している。
EC-1の用途として同社は、リモートI/Oや通信モジュールを挙げた。リモートI/O機器では、EtherCAT通信処理とI/O制御の両方を、EC-1のみで実現することができ、I/O制御用に別途CPUを外付けする必要がない。入力/出力は合計で最大32チャネルまで対応することが可能である。
EC-1ベースの通信モジュールを用いると、既存のスレーブ機器とシリアルインタフェースで接続し、容易にEtherCAT対応システムにアップグレードすることが可能になるという。モータードライブ装置向けCiA402ドライブプロファイルや半導体製造装置向けETG.5003デバイスプロファイルなど、サンプルソフトウェア環境も用意している。
なお、テセラ・テクノロジーがEC-1搭載の評価ボードを用意しており、2016年8月末から販売される予定である。
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