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−30℃でも駆動する全固体Li電池の試作に成功電池を積層構造化して実現

オハラは2016年8月、酸化物系材料を用いた全固体リチウムイオン(Li)電池において、−30℃の低温化においても駆動する電池の試作、実証に成功したと発表した。現在、小型電子機器に搭載されている、電解液を用いたリチウムイオン電池との置き換えが期待できるという。

» 2016年08月29日 09時30分 公開
[庄司智昭EE Times Japan]

2019年に電池部材としての採用を

 オハラは2016年8月、全固体リチウムイオン(Li)電池において、−30℃の低温化においても駆動する電池の試作、実証に成功したと発表した。同社が試作に成功した全固体リチウムイオン電池は、固体電解質に同社の酸化物固体電解質「LICGC」、正極と負極に酸化物系材料を用いて、粉末シートを積み重ねて焼結することにより、作成している。

 全体固体電池は一般的に、界面抵抗が大きく、中でも酸化物系の無機固体電解質を用いたものは、低温化の特性が著しく低下するという課題があった。同社は今回、電池を積層構造化することで、緻密(ちみつ)で効率的な構造を持つ全固体電池を実現したという。これにより、−30℃の低温化でも、駆動の実証に成功している。

 また、電解液や一部の全固体電池で使用される金属リチウム電池を使用しないため、200℃以上の高温環境でも燃えることなく、著しい変質劣化も示さない。大気中で安定する酸化物系材料で構成するため、硫化物系無機固体電解質を使用した全固体電池と比べて、安価な工程構築も可能だ。

今回試作に成功した全固体リチウムイオンで地 (クリックで拡大) 出典:オハラ

 今回試作に成功したリチウムイオン電池は、現在小型電子機器に搭載されている、電解液を用いたリチウムイオン電池との置き換えが期待できる。同社は今後、2017年にかけて課題の抽出とその対策を進め、2019年に電池部材としての採用を目指す。

 将来的には、「需要の拡大が見込まれる住宅などの定置型蓄電池システムや、電気自動車向け電池などでの採用も視野に入れて、展開を進める」(オハラ)とした。

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