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Appleの新しいカスタムチップ3種を考察Apple初の無線SoC「W1」など(1/2 ページ)

Appleは2016年9月7日(米国時間)、「iPhone 7/iPhone 7 Plus」「Apple Watch Series 2」「AirPods」を発表した。そこにはそれぞれ、Apple独自のカスタムチップが採用される。これらのカスタムチップ「A10 Fusion」「W1」「S2」について、発表された情報を整理しつつ、どのようなものか見ていく。

» 2016年09月09日 10時30分 公開
[Rick MerrittEE Times]

「A10 Fusion」「W1」「S2」

 Apple(アップル)が2016年9月7日(米国時間)に、新製品「iPhone 7/iPhone 7 Plus」「Apple Watch Series 2」「AirPods」を発表した。同社にとって初となる無線SoCをはじめ、新型チップを少なくとも3品種搭載するという。同社の半導体チップ製造能力が一段と強化されていることが分かる。

 Appleにとって、iPhone用アプリケーションプロセッサの開発は、やはり最大かつ最も困難な取り組みだったようだ。「iPhone 7」と「iPhone 7 Plus」に搭載される64ビットの「A10 Fusion」プロセッサは、33億個のトランジスタを搭載するという。

CPUコアはbig.LITTLE処理で4コア

「A10 Fusion」のイメージ

 またA10 Fusionは、ARMのbig.LITTLE処理を採用する。「iPhone 6」の「A9」SoCと比べて40%の高速化を実現する高性能コアを2個と、同じくA9比で消費電力量が5分の1となる高効率コアを2個使用している。さらに、6コアGPUを搭載し、A9のグラフィックスコアに対して50%の高速化を実現するという。

 Appleのマーケティング担当バイスプレジデントを務めるPhil Schiller氏は、「MediatekやSamsung Electronicsなどのように、8コア以上のアプリケーションプロセッサを手掛けるメーカーもあるが、A10 Fusionは、最強のスマートフォン向けチップだといえる」と主張する。

 Appleは、チップレベルの詳細についてはほとんど明かしていない。このため、A10 Fusionコアは全て独自開発によるものなのか、または一部はARMなどのメーカーから供給を受けているのかということの他、適用されている製造プロセスや、データ伝送速度など、多くの疑問点が残る。

 Appleが最も強調したのは、電力効率の大幅な向上を実現したという点だ。iPhone 7では、iPhone 6と比べて電池寿命を平均で約2時間延長することが可能だという。ただし、デュアルカメラを搭載するiPhone 7 Plusでは、電池寿命の延長は1時間にとどまるようだ。

 また同社は、電池寿命の数値を作業負荷ごとに分けて示している。例えばiPhone 7の場合、フル充電の状態で、インターネット利用は、Wi-Fi使用時最大14時間、LTE使用時最大12時間だという。

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