EETJ 開発〜試作向けの小規模な部品販売だけでなく、量産向けの部品販売も強化されるのですか。
戸沢氏 今後、事業規模を拡大するには、量産向けのビジネスを成長させていく必要があると考えている。大手商社が激しく競い合う大手セットメーカーの大規模な量産案件はターゲットにはしないが、中規模な量産案件への部品販売を本格化させていく。
EETJ オンライン中心の開発・試作向け販売と、オフライン中心の量産向け販売では大きくビジネスモデルが異なります。
戸沢氏 その通りで、営業人員が必要になる。ただ、以前務めていた大手商社では、量産向けビジネスばかりだったため、何をすれば良いかは分かっている。いわば最も得意な分野だ。コアスタッフを立ち上げた当初から、いつかは量産向けの商社ビジネスを手掛けたいと思っていた。ようやく、量産向けビジネスに着手できる規模に至ったため、このタイミングで量産向けビジネスの人員を増員し強化できるようになった。
EETJ 量産向けビジネスで、コアスタッフの価値はどのように打ち出されますか。
戸沢氏 “在庫を持っている”という点が強みになるだろう。量産向けに販売可能な代理店契約を結んでいる商材は、当然ながら、オンラインで1つから販売している商材でもあり、在庫を持っている。通常の商社であれば在庫は売れ筋製品に限られるが、当社では“死に筋”も含め豊富なラインアップで在庫がある。さまざまなニーズに短納期で対応できるという部分で強みが発揮できるだろう。
また競争力のある商材も順次、拡充していく。最近では、オーストリアの産業用電源コード/プラグメーカーであるFeller(フェラー)と、量産向けを含めた販売代理店契約を締結し、販売を開始した。
EETJ 2016年6月に産業用ボードコンピュータメーカーのアットマークテクノを子会社化されました。狙いをお聞かせください。
戸沢氏 EMS事業とともに、今後4〜5年先を見据えたIoT事業を強化する一環だ。
アットマークテクノがメーカーとして培う品質保証ノウハウなどを、EMSに反映することで競争力を高められる。他にも、コアスタッフの調達機能をアットマークテクノの購買に生かせば、効率性が高められるという相乗効果も見込める。
また、従来の商社機能に、開発から製造まで一貫したメーカー機能が加わったことで、今後成長が見込まれるIoTに対し、コアスタッフグループとして“ハブ機能”の役割が果たせるようになった。
というのも、IoTの構築には、センサー、CPUボード/ゲートウェイからネットワーク、クラウド、アプリケーションなどさまざまなものが必要になる。ただ、センサーなどエッジ端末に必要な部品は商社として調達できる。CPUボード/ゲートウェイよりも上流のクラウドやサービスについてもアットマークテクノが築いてきたエコシステムがありカバーできる。コアスタッフグループとして、IoT全体のプロジェクトマネジメントができるようになったわけだ。
EETJ 今後の売り上げ目標をお聞かせください。
戸沢氏 取りあえずは、グループとして早急に売上高100億円を達成したい。
EETJ 国内の半導体/電子部品商社では、再編も進みつつあります。
戸沢氏 まだまだ、そうした再編の渦に巻き込まれるような事業規模に達していない。とはいえ、いずれ商社業界の再編は進み、いくつかのグループに集約されるだろう。そうした中でも、コアスタッフは存在感を示しつつ、1つのグループを形成したいと思っている。
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