Maxim Integrated Products(マキシム・インテグレーテッド・プロダクツ)が発表したPLC(プログラマブルロジックコントローラー)開発プラットフォーム「Pocket IO」は、ポケットに入ってしまうほど小型な点が特長の1つだ。従来品の「Micro PLC」に比べてサイズは5分の2になっている。消費電力は30%低減された。
Maxim Integrated Products(マキシム・インテグレーテッド・プロダクツ)は2016年9月28日(米国時間)、PLC(プログラマブルロジックコントローラー)開発プラットフォーム「Pocket IO」を発表した。DC-DCコンバーターICやIO-Linkセンサー、8回路(オクタル)のデジタル入出力トランスレーター/シリアライザー、オクタルのハイサイドスイッチおよびドライバーICなどを組み合わせたもので、2014年に発表した「Micro PLC」の後継となる。3.5×3.5×0.8インチ(約9×9×2cm)と、ポケットに入ってしまうほど小型なところが最大の特徴の1つだ。
なお、Pocket IOはあくまでも提案用デモツールで、実際の産業機器に組み込んで使用するための製品ではない。レファレンスキットとしてのみ販売される。既に購入可能で、単価は499米ドル。取り付けボード、IO-Linkプロトコルスタック、ケーブル、電源が含まれる。回路図とレイアウトファイル、ファームウェアは無償で提供される。
MaximがPocket IOで狙うのは、インダストリー4.0(Industrie 4.0)が目指すFA(ファクトリーオートメーション)の分野だ。MaximのIndustrial & Healthcare Business Unitでバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーを務めるSui Shieh氏は、「FA分野では、より小型でより低消費電力のPLCが求められている」と強調する。
「例えば、工場で製品の組み立てなどに使われるロボットは、7軸制御など以前にも増して制御が複雑になっている。従来、ロボット用のコントローラー(制御ボックス)は外付けされていたが、ロボットの制御が複雑になるにつれて配線が増え、コントローラーの中に配線を入れ込む必要が出てくる。そうなるとスペースの都合上、PLCは小型化が求められ、さらに放熱用のファンを搭載できるスペースもないので、低消費電力化も求められるようになっている」(同氏)
Maximは、Pocket IOに搭載するICの製造プロセスを変更したり、新たに設計したICを採用したりすることで、Pocket IOのサイズはMicro PLCに比べて5分の2に小型化されている。さらに、消費電力は30%低減した。
例えば、Micro PLCに搭載されているデジタル入力モジュールは、抵抗やコンデンサー、フォトカプラー、電流リミッターなど多数の電子部品で構成されていた。Pocket IOの同モジュールでは、デジタル入力トランスレーター/シリアライザーなど5つのICで構成している。これによって203個の部品が不要となり、モジュールのサイズは3分の1となった。消費電力も半分に削減されている。
Micro PLCのデジタル出力モジュールは、Maximのオクタルハイサイドスイッチ「MAX14900E」と16個のダイオードで構成されていた。Pocket IOには、消磁機能を内蔵した新しいハイサイドスイッチ「MAX14913」を採用することで、16個のダイオードが不要になっている。これによってデジタル出力モジュールのサイズは5分の1になった。
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