ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)が、ワイヤレス充電市場に参入する。同社が狙う市場は、ヘルスケア機器、ウェアラブル機器、補聴器など、ボタン電池で動くような小電力機器向けのワイヤレス充電システムだ。
ワイヤレス充電といえば、現時点では、スマートフォンやノートPCなど小型・中型のモバイル機器向けが中心である。開発においては、より電力が大きな白物家電、そして究極的には電気自動車をターゲットにしているケースも多い。だがこれらの分野では、「Qi」や「Airfuel」などの規格の乱立や、発熱や電波に対する安全性、相互運用性、ワイヤレス充電用のインフラの整備、各国の電波法への対応といった多くの課題がある。ルネサスは「こうした分野では、有線で高速に充電したいというニーズの方が強いのではないか」と分析する。
ルネサスが目を付けたのは、スマートフォンよりも電力が小さい、ウェアラブル機器などだ。ルネサスは「これらの機器では、例えば歩数計に無線通信機能が搭載されるようになり、それによって一次電池ではなく二次電池が搭載されるようになっている。また、洗えるように防水、防じんへのニーズや、小型化、薄型化へのニーズも強い」と説明する。“ワイヤレス充電が本当に必要な機器は何なのか”を考えた結果、小電力機器こそがその答えだったという。
ルネサスが今回発表したのは、ワイヤレス充電用の受電IC「RAA457100」と送電IC「RAA458100」である。ワイヤレス充電の方式としては電磁誘導を採用している。
受電ICには、
といった、リチウムイオン二次電池を充放電管理するために必要な機能を、3.22×2.77mmの1パッケージに収めたところが最大の特長である。通常、受電ICでは、電池保護ICやDC-DCコンバーターが外付けになっていることが多い。パッケージは41端子WLBGAだ。入力電圧は18V。充電終了電圧は4.05V、4.2V、4.35Vから選択でき、急速充電電流は最大70mAに設定できる。DC-DCコンバーターは、1mA程度の軽負荷時に85%の高効率を実現している。
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