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“オーダーメイドの肌”を印刷技術で作るファンデーションは「塗る」から「貼る」時代に?(1/2 ページ)

パナソニックは「CEATEC JAPAN 2016」(2016年10月4〜7日、千葉・幕張メッセ)で、“オーダーメイドの肌シート”を使って化粧するデモを行った。シミなどの隠したい部分を“塗って”隠すのではなく、“貼って”隠すメークを提案。デモには毎回、多くの来場者が殺到していた。

» 2016年10月12日 09時30分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]

ファンデは“塗る”から“貼る”に?

 多くの女性にとって、朝のメークは時間との戦いである。メークの度合いは違えど、1〜2分で済ませられるものではない。アイテムだけを取っても、下地、コンシーラー、ファンデーション、パウダー、アイシャドー、アイブロウ、マスカラ、チーク、リップ+α……と、半導体ICも腰を抜かすほどの工程数なのだ。だから、化粧品を作る方も使う方も、「いかに短時間できれいに仕上げられるか」を実現すべく、多くの創意工夫を繰り返している。化粧品コーナーや美容雑誌には「時短をかなえる○○」「ひと塗りで○○」という、うたい文句が年がら年中、躍っている。

 何年か後、そのうたい文句に「ファンデーションは、“塗る”から“貼る”へ」という言葉が加わるかもしれない。

 パナソニックが、“貼るファンデーション”を「CEATEC JAPAN 2016」(2016年10月4〜7日、千葉・幕張メッセ)で提案したのだ。

 同社がデモで紹介したのは、一人一人の肌の色や状態に合わせて作る“オーダーメイド”の肌シートである。極薄のフィルムにファンデーションを印刷し、それを頬に貼る。シミを隠しつつ、自分の肌とまったく同じような自然な肌を再現できる技術だ。

肌シートを頬に貼っている女性。デモでは、分かりやすいように、自分の肌とフィルムの境目が少し目立つ感じで貼ってくれたが、それでも、「肌シートを貼っています」と言われなければ、まったく気付かないほど自然で、なじんでいた(クリックで拡大)

 肌シートは、パナソニックの画像認識技術と印刷技術を応用したものである。肌シートができるまでの流れは、こうだ。

  • LEDとカメラを搭載した鏡の前に座ると、顔を認識し、撮影する
  • LEDからRGBの光が顔に当たる。特定の波長の反射と吸収から、シミの場所を判別する
  • 最も目立つシミがある部分を隠せるように座標を計算し、専用のプリンタでファンデーションをフィルムに印刷する。印刷にかかる時間は約2分
  • 完成した肌シートを、肌に水をスプレーした後、専用の道具を使って貼りつける
LEDとカメラを搭載した鏡の前に座ると(左)、顔を認識して撮影する(クリックで拡大)
左=シミの位置が特定されている様子。肌表面だけでなく、奥に潜む潜在的なシミの位置まで分かってしまうので、かなりの恐怖である/右=完成した肌シート(クリックで拡大)
左=肌シートを印刷したところ/右=メガネのようなものが、肌シートを頬に貼りつけるための道具。矢印で示した部分に肌シートを置き、メガネをかけるようにして頬に押し当てると、シートが肌に張り付く(クリックで拡大)

 肌シートを一度貼りつけると、1日持つという。はがす時には水をスプレーして軽くこする(つまりプールや海に入る時には使えない、ということになる)。

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