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Wi-Fi対応の心電図パッチ、病院でも使用可能に複数の無線規格に対応(1/2 ページ)

米国の新興企業が、心電図センサーとモニターをWi-Fi接続するためのSoC(System on Chip)を開発した。病院内で使えることが特長だ。

» 2016年10月13日 15時30分 公開
[Rick MerrittEE Times]

病院で使えるWi-Fiパッチ

 新興企業HMicroは、STMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)との協業により、心電図センサーとモニターを接続するSoC「HC1100」を開発したと発表した。病院で使えることが特長だ。Wi-Fiをはじめ、複数の技術を利用するという。同社はこれまで、使い捨てワイヤレスパッチの量産市場を創出すべく、HC1100の開発を秘密裏に進めてきたという。

 病院では、有線接続の心電図(ECG)センサーを年間60億個、購入している。このうちの45億個を、3MとCovidienが提供しているという。これらのセンサーは現在、人気が高まっている使い捨てのリード線と組み合わせることにより、20米ドル未満の小ロットで販売されている。

 HMicroのチーフエグゼクティブを務めるSurendar Magar氏は、「使い勝手が良く、患者の移動性を高めることが可能なワイヤレスパッチを、既存の有線センサー+リード線のセットをわずかに上回る程度の価格で提供する予定だ。

 このアイデアは、Wi-Fiがイーサネットを置き換えて普及した方法とよく似ているかもしれない。しかし今のところ、医療用途向けにターゲットを定めたプラットフォームを開発した企業は、1社もない」と述べている。同氏は、Wi-Fiおよびテレビチューナーを手掛ける新興企業Athena Semiconductorsの創設者であるが、同社は2005年に、Broadcomによって2100万米ドルで買収されている。

Wi-Fi対応の心電図パッチ

 Magar氏は、「さまざまな研究者や新興企業が、これまで数年間をかけて、ワイヤレスパッチの開発に取り組んできた。例えば、フィットネス向けや、妊娠の状態を追跡するなどの特定用途向け製品の他、再充電が可能なパッチを使用した製品もある」と述べている。

 同氏は、2010年にHMicroを設立し、その後Mohr Davidow Venturesで起業家を務めている。そして2011年に、STMicroelectronicsと共同で、SoCのコンセプトの実現に向けた取り組みを開始した。

 HMicroはこれまでに、パートナー企業やベンチャーキャピタルから、約3000万米ドルの資金提供を受けている。同社にとって初となるチップの生産を既に開始していて、2016年末までにはパートナー企業に関する詳細を発表する予定だという。例えば、韓国でパッチの生産を行うメーカーや、パッチを病院に販売する機器メーカーなどが含まれるとみられる。

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