HC1100は、HMicroが生産を予定しているSoCファミリーの第1弾となる。心電図センサーと血中酸素センサー、ARMのデュアルコアプロセッサ「Cortex-M0」を搭載する他、Wi-Fiの規格「IEEE 802.11b/g/n」と、2.36GHz〜2.4GHzの医療用途向け周波数帯域、「IEEE 802.15.6」規格の3.1GHz〜10GHzの超広帯域(UWB:Ultra Wide Band)をサポートする。
Magar氏は、「例えば、緊急治療室に50人の患者がいて、有線通信並みのレートを確保しなくてはならない場合、Wi-Fiだけではなかなか難しい」と指摘する。
超広帯域と医療用途向け周波数帯域を活用すれば、通信の混雑がひどい場合に、Wi-Fiをバックアップする手段として機能させることができる。無線を特定のユースケースのみに限定し、可能な限りリソースを共有することで、シンプルな設計を維持できるという。
ユーザー側がドングルを購入し、それを患者用のモニターに挿すという独自の手法を採用することで、3つのネットワーク全てをサポートする。ドングルには、HC1100と、2つ目の超広帯域レシーバーICが搭載されている。
さらに、同パッチのWi-Fiは、亜鉛空気電池(コイン電池)から供給される150mAの電流で機能するという点も特長だ。通常、Wi-Fiには200mAが必要とされている。
HMicroは、Bluetoothの不採用を2つの理由で決めた。HMicroのパッチがターゲットとする、データレートが数百キロビット/秒の用途においてはエネルギー効率が低かったからだ。さらに、この用途においてはペアリングが障壁になるとも述べた。
SoCは、STMicroelectronicsが90nm CMOSプロセスで製造する。今後は、パッチに加速度センサーや温度センサー、圧力センサーといった各種センサーを搭載する予定だ。心音を録音するためにマイクを内蔵する可能性もあるという。将来的には、スマートフォンとパッチを接続することも検討している。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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