発火問題を受けて、Samsung Electronics(サムスン電子)はついに、「Galaxy Note 7」の生産停止を決断した。当初はバッテリーが要因とみられていたが、それ以外である可能性も出てきている。
Samsung Electronics(サムスン電子)の最新スマートフォン「Galaxy Note 7(以下、Note 7)」が発火した原因は、現時点ではまだ明らかになっていない。Samsungは独自調査が終わるまで発言を控える方針だ。
Financial Timesの報道によると、Samsungが当初疑っていたリチウムイオンバッテリーが原因ではないようだ。むしろ問題は、スマートフォンに搭載されたプロセッサを微調整するための基盤技術にあるらしい。
Financial Timesは、Samsungの重役と話したある匿名筋の情報を元に、「Note 7の問題は、充電時間を短縮するためにプロセッサを微調整したことによるものとみられる」と伝えた。
この匿名筋はFinancial Timesに対し、「バッテリーはあまりにも急速に充電すると不安定さを増す」と述べた。
Samsungは2016年10月11日(米国時間)、Note 7の生産中止と交換を発表した。
Note 7は、Samsung独自のプロセッサ「Exynos 8893」を用いたバージョンと、Qualcomm製プロセッサ「Snapdragon 820」を搭載したバーションの2つがある。
SamsungはNote 7の返品と交換を受け付けていたが、他社製の新しいバッテリーを用いた交換品でも発火事故が起きた。それが明るみなったことで、原因はバッテリー以外にあるという新たな説の信ぴょう性は増した。
Samsungは当初、発火の原因を子会社のSamsung SDIが製造したバッテリーと結び付けていた。Korea Heraldの報道によると、Samsung SDIはNote 7のバッテリーの7割を供給しており、残りの3割はAmperex Technology(ATL)が供給していた。当初、ATL製のバッテリーを用いたNote 7については発火が確認されていなかった。そのため、暫定的な対応策としてSamsungは交換用のバッテリーとしてATLの製品を用いたのである。
ところが、ATL製のバッテリーを搭載した交換品でも発火したことが明らかになった。
香港を拠点とするATLは1999年に設立された後、2005年にTDKに買収された。同社は2010年以降、TDKの厳しい製造プロセスに従って製造ラインを稼働していると伝えられている。
ATL(TDK)製のバッテリーにも欠陥があったということだろうか。
必ずしもそうとはいえない。Samsungは、バッテリーを交換しても発熱が収まらないという結論を出したようだ。
Note 7の生産を全て中止するというSamsungの決断は、「発火の要因を探るにはバッテリー以外にもあらゆる要素に目を向ける必要がある」という同社の認識を示唆するものだろう。
米消費者製品安全委員会(Consumer Product Safety Commission)の報告によると、米国において、Note 7の発火は92件が報告されている。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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