Samsung Semiconductorは、第1世代の14nmプロセス技術「14LPP」よりもコストを抑えられる第2世代14nmプロセス技術「14LPC」を2016年中にも提供するとの方針を明らかにした。10nmプロセス技術でも、第1世代の「10LPE」と第2世代の「10LPP」を提供するという。
Samsung Semiconductorが、ファウンドリー事業のロードマップに関する詳細を明らかにした。FD-SOI(完全空乏型シリコン・オン・インシュレーター)による生産を拡大すると共に、既存のFinFETを置き換える低コスト技術を提供していくという。
同社は今回、低コストの14nm FinFETプロセス技術「14LPC(Low-Power Compact)」の開発を進めていると発表した。同社は既に、14LPCを用いて50万枚以上のウエハーを出荷しており、ネットワーキングやサーバ、自動車などの分野にも同技術の適用を拡大しているという。しかし、同社でファウンドリーマーケティング担当シニアディレクターを務めるKelvin Low氏は、「次世代技術では、さらなる低コスト化の実現へと進んでいくだろう」と指摘する。
Low氏は、EE Timesのインタビューに対し、「重要なのは、いかにコストと性能のバランスをとるかだ。14LPCは、14LPP(Low-Power Plus)と同じプロセス開発ツール(PDK:Process Development Kit)を使用する。ステップ数を削減したことで、製造の低コスト化が可能になるため、顧客企業との間で共有すべき技術であると判断した」と述べている。
また、Samsung Semiconductorは2016年中に、14LPCでRFアドオンを提供する予定だという。ただしLow氏は、どのステップが省略されているのかについては触れておらず、同社の第2世代の14nm FinFETプロセス技術である14LPPと、14LPCとのコスト差についても詳細を説明していない。14LPCは、2016年中には利用できるようになる見込みだとしている。
さらにLow氏は、「10nm世代の10LPPプロセス技術も発表する予定だ。第1世代の10LPE(Low-Power Early)と比べて、10%の性能向上を実現する。当社は、競争力のあるPPAスケーリングを採用することにより、7LPPプロセス技術の開発にも着手しているが、10nmと7nmについては今のところ、やや曖昧な点がある」と述べている。
同氏は、「当社は10nmプロセスについて、他のファウンドリーが主張しているよりももっと長い間にわたり使われる技術だと考えている。また、7nmプロセスに関しては、利益率の高い製品だけでなく、量産品でも高いコスト効率を実現できる技術として、最適化すべきだと考える。7nmプロセスの低コスト化を実現する上で重要な鍵となるのが、EUV(極端紫外線)だ」と述べる。
Samsung Semiconductorは最近、顧客企業グループに対し、EUVプロセス技術に関するプレゼンテーションを行ったとしているが、Low氏はその詳細について、EE Timesに明かそうとせず、「実証済みの点はいくつかあるが、まだ7nmプロセスでのEUV導入を発表できる段階にはない」と述べるにとどめている。
また同社は、提供可能な技術として、180nm〜65nmの8インチ技術の適用を加速させているところだという。8インチプロセスは、eFlashやパワーデバイス、イメージセンサー、高耐圧プロセスなどへの対応が可能だ。
Low氏は、「顧客企業からは現在も、8インチ技術を適用して生産能力を確保したいとする要望がある。現在、特定の分野において供給が不足していることから、こうした要望はさらに高まっていくとみられる」と述べている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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