Samsung Electronics(サムスン電子)が10nm FinFETプロセスを適用したSoC(System on Chip)の量産体制を着々と整えているようだ。「Galaxy Note 7」の発火問題で同社のファンドリー事業も停滞するとみられているが、最先端プロセスの実用化に向け、開発を進めている。
スマートフォン「Galaxy Note 7」の回収で揺らぐSamsung Electronics(サムスン電子)は、2016年のファウンドリー事業の停滞を見込んでいる。そうした中、同社が10nm FinFETプロセスで製造するSoC(System on Chip)の量産体制を整えていることが明らかになった。ファウンドリー事業でのライバルであるTSMCやIntelに打ち勝つことを狙う。
Samsungのファウンドリー部門において、マーケティングおよびビジネス開発のシニアバイスプレジデントを務めるHong Hao氏は「2016年内にも量産を開始する予定だ。当社は10nmチップを出荷する最初のメーカーとなるだろう」と話している。
Samsungのプレスリリースによると、「10LPE」と呼ばれるプロセスでは、トリプルパターニングを用いることで、14nmプロセスに比べて面積が30%縮小された他、チップ性能は27%向上し、消費電力は40%低くなった。10nmチップを用いた初めてのデバイスは2017年初めにお目見えする予定だ。その後、Samsungは同年末ごろには改良版の「10LPP」を後続プロセスとして発表するという。
Samsungは14nmプロセスでも同様の方法を取った。つまり、第1世代のFinFETプロセスをいち早く市場に投入し、その後最適化されたバージョンを発表している。
同社によると、10nmノードのプロセスおよびIP(Intellectual Property)設計キットは既に入手可能だという。Samsungは2016年1月に開催された技術会議で、10nm SRAMセルについて説明していた。
Samsungは、TSMCやGLOBALFOUNDRIESが計画しているような液浸リソグラフィを使った7nmプロセスはスキップすることも明らかにした。Samsungは、7nmプロセスにはEUV(極端紫外線)リソグラフィを採用するとしている。EUVリソグラフィシステムが量産対応可能になるのは2019年ごろとみられているが、Samsungはその1年前となる2018年後半には、EUVリソグラフィを用いた7nmプロセスでの製造を始めたいとする意向を示している。
IC Insightsでシニアアナリストを務めるRob Lineback氏は、「Samsungの7nmプロセス開発計画は、興味深くもあり驚きでもある。数年後に7nmプロセスを導入すると言及しているIntelですら、液浸リソグラフィを使う予定だからだ」と述べている。
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