STMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)は2016年10月、動作周波数400MHzのARM Cotex-M7コア搭載32ビットマイコン「STM32H7シリーズ」を発表した。
STMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)は2016年10月28日、動作周波数400MHzのARM Cotex-M7コア搭載32ビットマイコン「STM32H7シリーズ」を発表した。40nm世代のフラッシュメモリ混載プロセスを採用し、従来の同M7コア搭載マイコンに比べ、消費電力当たりの性能が約2倍向上したという。
同社マイクロコントローラ・メモリ・セキュアMCU製品グループディレクターを務めるパオロ・オテリ氏は、マイコン向けCPUコアである「ARM Cotex-Mシリーズ」を搭載したマイコンとしてSTM32H7シリーズは「記録的性能を実現した」と言い切る。
STマイクロでは、これまでCortex-Mシリーズを搭載するマイコン製品のハイエンド製品シリーズとして同M7コアを搭載した「STM32F7シリーズ」を2014年から展開してきた。今回、製品化したSTM32H7シリーズは、同F7シリーズをさらに性能を高めた最上位のハイエンド製品群として位置付ける。
従来の同F7シリーズは90nmフラッシュメモリ混載プロセスを使用し、最高動作周波数は216MHzで、EEMBCのCPUコア性能ベンチマーク「CoreMark」のスコアは“1000”だった。これに対し、STM32H7シリーズは、40nmフラッシュメモリ混載プロセスを新たに採用したことなどにより、最高動作周波数を400MHzにまで高めた他、CoreMarkスコアは“2010”と同F7シリーズ比2倍以上に高めた。
40nm世代の高集積プロセスを採用したことにより、内蔵メモリ容量も大きく拡大。STM32H7シリーズ第1弾製品群では、最大フラッシュメモリ容量2Mバイト、最大RAM容量1Mバイトを実現。オテリ氏は「市場ニーズ次第だが、フラッシュメモリについては、4Mバイト以上の大容量品も提供できる」とする。
従来マイコンと一線を画した“高性能”を生かし、高性能モーター制御を必要とする産業機器や、ネットワーク機能を必要とする民生機器、通信機器など幅広いアプリケーションでの採用を目指す。ただ、これらのアプリケーションでは現状、Cortex-Mシリーズよりも上位のARM Cretex-RやARM Cortex-Aシリーズを搭載する、いわゆるマイクロプロセッサ(MPU)と競合する場面が多くなる。
オテリ氏は「市場では、ローエンドのMPUと競合するケースが多くなるだろう。ただ、ローエンドMPUとSTM32H7シリーズを比較した場合、大容量のフラッシュメモリを内蔵している点、ペリフェラルが充実している点で、STM32H7シリーズに優位性がある。ユーザーに対し、効率やスペース削減といった価値をより多く提供できるのはSTM32H7シリーズだ」と自信をのぞかせる。
電力効率面では、「プロセッシングドメイン」「コネクティビティドメイン」「サブペリフェラルドメイン」の3つのドメインを設けて電力制御を最適化する工夫などを導入。その結果、1MHz動作当たり消費電流を従来品(同F7シリーズ)比約半分の280μAに低減した他、待機時消費電流も7μA未満に抑えた。
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