Intersilは、10〜450Aまでの電流スケーリングを可能にする、デジタルマルチフェーズPWMコントローラ「ISL681xx」「ISL691xx」と、スマートパワーステージ「ISL99227」を発表した。
Intersilは2016年11月4日、12種のデジタルマルチフェーズPWMコントローラ「ISL681xx」「ISL691xx」と、スマートパワーステージ「ISL99227」を発表した。
デジタルマルチフェーズPWMコントローラは、入力電圧、出力電圧、入出力電流、温度に対するテレメトリー(遠隔監視)が可能となっており、インタフェースと出力構成により3つのグループに分かれている。ISL68127とISL68124は、PMBus(Power Management Bus)に準拠した汎用品となっている。
ISL68137とISL68134は、PMBusに加えてAVSBus(Adaptive Voltage Scaling Bus)に準拠。AVSBusは、SMIF(System Management Interface Forum)が2015年に定義した規格「PMBus 1.3」と同時に発表されたもので、PMBusが1MHzで動作するのに対して、AVSBusは50MHz動作に対応している。これにより、高速制御が可能という。
ISL69147/69144など残りの8つで構成されるISL691xxは、SVIDかSVI2の高速インタフェース機能を追加しており、IntelとAMDのプロセッサに対応している。
いずれも出力構成は、7フェーズか4フェーズであり、どのような出力(x+y)に対しても、PWM制御でフェーズ指定が設定できる(ISL69127のみ、6+1=7フェーズ)。
また、内蔵ドライバーと25V同期整流FETにより60Aの電流出力が可能なスマートパワーステージであるISL99227(電源電圧範囲:4.5〜18V)や、14フェーズ動作まで拡張可能にするISL6617Aフェーズダブラーを組み合わせることで、10〜450Aまでの電流スケーリングができる。通信インフラ機器やデータセンターの電力効率向上が可能だ。
Intersilでインフラストラクチャ・パワー担当ディレクターを務めるChance Dunlap氏は、「当社のデジタルマルチフェーズPWMコントローラにおける強みは、特許取得済みの“合成電流制御”アーキテクチャをベースとしたデジタル制御ループにある。合成電流制御アーキテクチャでは、各フェーズのインダクター電流を予測し、その情報を基にゼロレイテンシで各フェーズ電流を追従する。競合製品と比較して、必要なキャパシタンスを30%低減し、積層セラミックコンデンサーの使用を可能にする。これにより、競合製品の過度応答性能は105mV変動に対して、54mVを実現した」と語る。
スマートパワーステージにおける放熱特性テストの比較では、競合製品と比較して発熱が最大20℃低下(75℃@200LFM、400kHz、100A)。「効率が高いのに加えて、パッケージのデザイン上、両面で冷却ができることから実現できた」(Chance氏)とする。
デジタル電源システムの開発においては、GUIベースのツール「PowerNavigator」が無償で提供されている。PMBusやAVSBus(専用のUSBドングルでサポート)のそれぞれで通信を行う開発ボードも提供されており、PowerNavigatorと接続することで「全てのパラメータの設定/制御の他、フェーズの追加/削除における電流閾(しきい)値による効率の最適化、ループチューニングの調整を実現できる。つまり、設計に要する時間を短縮可能だ」(Chance氏)とコメントしている。
PMBusとAVSBusに準拠し、出力構成が7フェーズのISL68137は、6mm角の48ピンQFNパッケージで提供され、1000個購入時の単価は5.30米ドル。ISL99227は、5mm角の32ピンQFNパッケージで提供されており、1000個購入時の単価は5.21米ドルである。
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