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「Synergy」欧州でも手応え、FA向けIPも追加予定electronica 2016(2/2 ページ)

» 2016年11月11日 11時30分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]
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「VSA」は市場動向の“指標”

 Synergyについて、顧客からの要求が最も多いのは、無線通信機能とセキュリティ機能の強化だ。無線通信については既存のWi-Fiフレームワークの他、サードパーティーが「Verified Software Add-on(VSA)*)」というSynergy向けソフトウェアで提供している。ディストリビューターのArrowは、NFC対応ソフトウェアをVSAとして提供している。2016年末にはBluetooth Low Energy(BLE)のフレームワークも発表する予定だ。この他、セルラー(GPRSおよびLTE)やLoRa、ZigBeeなどにも対応していきたいとしている。Carbone氏によれば、VSAは、市場の“様子見”のような役割も兼ねているという。例えば無線通信はWi-Fi、Bluetooth、LoRa、NFC、ZigBeeなど数が多く、今後も新しいプロトコルが出てくる可能性がある。そうした場合、Arrowが提供しているようなNFCソフトウェアがVSAとして多く出てくれば、NFCのニーズが高いといったように、市場の傾向が読み取りやすくなる。

*)ルネサスが検証済みのソフトウェア・アドオン。

 セキュリティについては、embedded worldで発表した「DLM(Device Lifecycle Management)」の機能などで強化している(関連記事:IoT機器のRoot of Trustはマイコンであるべき)。Cortex-M23/Cortex-M33を採用した専用マイコンでは、セキュリティがさらに強化される。Cortex-M23/Cortex-M33のアーキテクチャであるARMv8-Mには、セキュリティアーキテクチャである「TrustZone*)」が組み込まれているからだ。「TrustZoneによって、ソフトウェア全体ではなく、アップデートしたい機能あるいはファイルだけを選んで更新できるようになる」(Carbone氏)。

*)関連記事:“印刷”のCortex-M0から64bit化を推進するCortex-A35、mbed OSまで、ARMの示す未来像

エコシステム拡大にはサードパーティーが欠かせない

 デモ展示の中で、Carbone氏が特に強調するのが、ディストリビューターが開発したSynergyのレファレンス設計ボードだ。具体的にはArrow、Avnet、Glynの3社がデモボードを展示している。同氏は「こうしたディストリビューターやサードパーティーと協力し、エコシステムを拡大していくことで初めて、Synergyは単なる“製品”から“ソリューション”になることができる」と述べ、ディストリビューター/サードパーティーの存在の重要性をあらためて強調している。

左=Glynが提供しているSynergyレファレンス設計ボード。液晶ディスプレイに表示するグラフィックチップをSynergyマイコンが制御している/右=ArrowのSynergyレファレンス設計ボードで、NFC通信機能が搭載されている。ArrowはNFCソフトウェアをVSAとして提供している(クリックで拡大)

 Carbone氏は、Synergyによって、これまでリーチしたことのなかった顧客層にリーチできるようになったと話す。Synergyの顧客のうち半数近くが、ルネサスの製品を一度も使ったことのなかった新規顧客だという。

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