ルネサスは2016年9月13日、米国のIntersil(インターシル)を32億1900万米ドル(約3274億円)で買収すると発表した。ルネサスは、両社の製品群は補完的であり、車載、スマートホーム、スマートファクトリーといった分野で総合的な製品を提案できるとしている。Hannawald氏は、「買収が完了していないので詳細は明かせないが、Intersilの存在感は、米国や中国に比べて欧州ではやや薄い。そのIntersilとREEでどのようなシナジー効果を見いだせるのか、そしてそれを欧州の顧客にどう訴求していくかについて、今後戦略を練っていく」と述べた。
Hannawald氏は、今後のREEの成長を担う鍵になる製品として、R-CarやSynergyの他、産業機器向けの「RZ/G Linuxプラットフォーム」を挙げた。
RZ/G Linuxプラットフォームは2016年10月に発表されたばかりの製品で、産業機器向けの高性能組み込みプロセッサとともに動作検証済みのLinuxとミドルウェア群および開発環境などを提供するものである。コンセプトはSynergyと同じで、これまでリーチできなかったような中小企業まで顧客層を広げることが目的の1つである。
ただし、RZ/G Linuxプラットフォームは欧州向けには、まだ公式に発表されていない。REEのIndustrial & Communications Business Groupでシニアマネジャーを務めるMohammed Dogar氏によると、欧州のパートナーをRZ/G Linuxプラットフォームのエコシステムに取り組むべく準備を進めている段階で、2017年初頭に発表する予定だとしている。Dogar氏は「SynergyとRZ/G Linuxプラットフォームの最大の違いは、Synergyがルネサス主導なのに対して、RZ/G Linuxプラットフォームは、よりオープンなコミュニティーを持つLinuxをベースにしている点だ。Synergyについてはルネサスが全てコントロールできるが、Linuxにはさまざまな変更が動的に加えられる。これはわれわれがコントロールできるものではない。Linuxのコミュニティーをどうサポートできるかが、欧州でもRZ/G Linuxプラットフォームが受け入れられる条件になるだろう」と述べた。
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