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産業機器向けSSD製品、信頼性や低背で差異化ET2016 レポート

イノディスク・ジャパンは、「Embedded Technology 2016」「IoT Technology 2016」で、産業機器向けのフラッシュストレージ製品やDRAMモジュールの新製品を展示した。

» 2016年11月24日 10時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

独自開発の制御用ファームウェアを内蔵

 イノディスク・ジャパンは、「Embedded Technology 2016(ET 2016)」「IoT Technology 2016」(2016年11月16〜18日、パシフィコ横浜)において、産業機器に向けたフラッシュストレージ製品やDRAMメモリモジュールの新製品を展示した。

 フラッシュストレージ製品の1つは、2016年12月にリリース予定のSSD製品「PCIe 3ME」シリーズと「SATA 3ME4」シリーズである。新製品は15nmプロセスで製造された東芝製MLC(Multi Level Cell)タイプのNANDフラッシュメモリを搭載した製品。コントローラICはMarvell製品を用いた。「コントローラ内部のファームウェアは独自に開発した。これによって、より高速な読み出し/書き込み性能や、高い信頼性、製品寿命の延長などを実現した」(説明員)と話す。

2016年12月にリリース予定のフラッシュストレージ製品「PCIe 3ME」シリーズと「SATA 3ME4」シリーズの外観 (クリックで拡大)

 インタフェースがPCI Express(PCIe) Gen3対応の「PCIe 3ME」は、読み出し/書き込み速度が660Mバイト/秒、380Mバイト/秒、記憶容量は16G〜128Gバイト品を用意している。同じくSATA IIIに対応した「SATA 3ME4」は、読み出し/書き込み速度が530Mバイト/秒、210Mバイト/秒で、記憶容量は最大256Gバイトである。

 産業機器用途のSSD製品は、信頼性などの観点から、これまで主にSLC(Single Level Cell)タイプのNANDフラッシュメモリが用いられてきた。近年は記憶容量やコストの問題などから、MLCタイプのフラッシュメモリへと移行が進む。こうした市場の動きに対して、同社は産業用PCやMFP(Multifunction Peripheral)、POS端末、ロボット装置などの用途に向けて新製品を提案していく。

 さらに、NANDフラッシュメモリ自体も、2次元(2D)構造から3次元(3D)構造へと進化し、TLD(Triple Level Cell)タイプの製品開発が活発となっている。このため、同社としても3D構造のNANDフラッシュメモリを搭載したフラッシュストレージ製品を2017年には市場に投入する予定である。「フラッシュストレージ製品は今後、2D構造から3D構造を用いたフラッシュメモリ搭載製品への移行期を迎えることになる。新製品は信頼性評価などの点で、3D製品への移行をスムーズに行うことが可能な製品である」(説明員)という。

M2DOM

 もう1つのフラッシュストレージ製品は、新形状のSSD製品「M2DOM」である。「M.2」規格の製品に比べて、プリント基板への実装面積を最大90%削減できるという。小型/薄型PC向けに、2016年6月より同社が提案している新たな形状である。

 M.2は、PCなどに内蔵する拡張カードのフォームファクターと接続端子について定めた規格で、「mSATA」の後継として開発された。一般的なM.2対応カードは幅が22mmで、長さは30mm、42mm、60mm、80mmといった製品がすでに供給されているという。これらのカードはプリント基板に対して水平に実装されるため、採用するカードによって占有スペースが異なる。このことが設計者にとって課題となっていた。

 新たに同社が提案するM2DOMは、インタフェースやコネクター端子部分についてM.2規格との互換性を継続しつつ、長さ方向を20mm及び30mmとした。これによってプリント基板に対して垂直に実装して利用することができるという。基板実装面積は、最小だとカードの厚みだけで済むことになる。コネクターはプリント基板にねじ止めすることで、耐震性などを強化した。

 この他、DRAMモジュールも超低背製品などを提案する。実装基板の高さを0.72インチにするなど、一般的な製品に比べてほぼ半分に抑えたDDR4 DIMMや、ガスやほこり、温湿度など、劣悪な使用環境にも対応できるコーティング製品などを紹介した。

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