ファブレス半導体メーカーのMediaTekは、自動車市場へ参入することを発表した。ADAS(先進運転支援システム)やミリ波レーダーなどの4つの分野について、2017年から順次製品を展開する。
ファブレス半導体メーカーのMediaTekは2016年11月29日、自動車市場へ参入することを発表した。ADAS(先進運転支援システム)とミリ波レーダー、インフォテインメントシステム、テレマティクスの4つの分野について、基本的なソフトウェアを含めたソリューションとして展開していく。2017年1〜3月から順次製品を発表する予定だ。
MediaTekの日本法人メディアテックジャパンのジェネラルマネジャーである櫻井義孝氏は、「自動車市場に参入するのは、自然な流れである。当社の製品は、年間15億個を超えるコネクテッドデバイスに採用されている。コンシューマーやモバイル分野で培ってきた要素技術やIP(知的財産)が、うまく調和するのではないか」と語る。
また、Strategy Analytics Reportの調査によると、2014〜2020年における自動車の生産台数の年平均成長率(CAGR)は2.7%である。特に、同期間における半導体搭載額のCAGRは6.2%、2018年には自動車1台当たり600米ドルの半導体が搭載される予想もあるほど、他の市場に比べて成長が見込めることが大きな機会としている。
MediaTekは、これまでにもインフォテインメントシステム向けSoCを提供する中国のAutoChipsを子会社に持っていた。しかし、AutoChipsは、アフターマーケットのみを対象としていたため、ビジネス規模の拡大が難しかったという。そのため、2016年5月に中国のNavInfoへ6億米ドルで売却することを発表している。
今回、AutoChipsの売却によって得た資金も元手に、本格的に自動車市場へ参入することを決断。自動車市場向けに約300人のエンジニアリソースを既に投入しており、38社の自動車関連メーカーと具体的な商談が進んでいるとした。
櫻井氏によると、MediaTekの2016年1〜10月の売り上げは前年比33%増となっている。中国のスマートフォン市場の成長を要因として挙げる。利益に関しては、「競争が激化しており、2015年と比べて厳しい状況となっている」(櫻井氏)と語る。
また、売り上げの20%を技術開発に投資しているのも特長だ。過去12年間で、モデムやコネクティビティ、コーデック技術などに約100億米ドルを投資している。櫻井氏は、「これまで培ってきた広いIPは、自動車市場においても親和性が高い」と強調した。
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