2017年1月5〜8日に米国のネバダ州ラスベガスで「CES 2017」が開催される。今回の注目株の筆頭は、AI(人工知能)、VR(仮想現実)/AR(拡張現実)、自動車とされていて、ここ数年間のCESで盛り上がっていたIoT(モノのインターネット)のブームは少し落ち着くようだ。
前回に続き、「CES 2017」(2017年1月5〜8日、米国ラスベガス)で注目しておきたい技術を紹介したい。前回は、CESの注目技術としてAI(人工知能)を挙げた。そして、AIが注目されているのは、ただ単に、民生分野において勢いがあると認められたからではなく、幅広い業界において、既に導入が進められている技術であるためだと述べた。
米国のFeibusTechで主席アナリストを務めるMike Feibus氏は、AI搭載スマートヘッドフォン「Vinci」を例に挙げて説明した。Vinciは、スマートフォンの機能を備えながらも不要なアプリケーションを排除した、音楽専用のオーバーイヤー型ヘッドフォンだ。32Gバイトのストレージから好きな音楽を選んで聴いたり、AmazonやSoundCloud、Spotifyからストリーミング再生したりできる。「だが、それ以上に重要なのは、Vinciが“ユーザーのために選曲できる”ことだ」とFeibus氏は言う。Vinciは、ユーザーが聴いた曲から学習した情報や、時間、場所、生体測定値などを手掛かりに、その時にユーザーが聴きたいであろう曲を再生するのだ。
AI駆動型のスマート機器の登場を機に、家電メーカーは、AIが製品にどんなサービスやアプリケーションを付加できるかを真剣に考えるようになった。
Accentureの通信/メディア/テクノロジーグループでマネジングディレクターを務めるJohn Curran氏は、EE Timesに対して「AIプラットフォームを基にした家電機器は増えていくと予想される。こうしたデバイスは、Amazonの『Alexa』やAppleの『Siri』のような音声認識技術を搭載できるように設計され、家電業界の最前線を行く中核的な製品になるだろう」と語った。
現実世界とつながった製品が、音楽の再生から家の温度調整、天気を知らせることまで、あらゆることをできるようになる。さらに、インテリジェントアシスタントは、ユーザーが会議に遅れた時に会議の情報を伝えるといった支援もできる。
機械学習(マシンラーニング)の向上によって、自動運転車は近い将来、実現すると予想される。
自動運転車の実現の可能性が高まったことで、AIや機械学習、ニューラルネットワークに対する業界の期待もふくらんでいる。
自動運転車は、日常生活におけるAI駆動型コネクテッドデバイスの利便性を示す最適な事例だ。その一方で、AI技術に潜む安全性に関する問題の事例として、これほど悪い例もないだろう。
IoT市場や自動運転車市場はまだ誕生したばかりだが、もはやこれらはSF(サイエンスフィクション)の世界の話ではなくなっている。
米国のDigital Tech Consulting(DTC)でプレジデントを務めるMyra Moore氏は、「よくある個人情報やメールの盗難よりも悪質なセキュリティ違反を取り上げて、破滅的な結論が導き出される可能性も容易に想像できる」と述べる。
自動車業界は、現実世界での自動運転車の走行で最初に起こった死亡事故について、長い時間をかけて議論してきた。
2016年5月、Tesla Motorsの「Model S」をオートパイロット(自動運転)機能で運転していたドライバーが死亡事故を起こした。この事故は現在、連邦政府による調査が続いているが、Tesla Motorsは、「オートパイロットシステムは、適切に使用すれば安全だ」との主張を続けている。一方で、同社はオートパイロットシステムのハードウェアとソフトウェアをアップグレードしている。
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