SEMIが米国で開催した「Industry Strategy Symposium(ISS)」(2017年1月8〜11日)では、450mmウエハーの話題はほとんどなかった。450mmウエハーへの移行に積極的だった半導体業界だが、ここ最近はそうでもないようだ。
半導体業界はほんの数年前は450mmウエハーへの移行に積極的だった。だが、すくなくとも現時点では、その勢いはすっかり途絶えてしまっている。
米国の市場調査会社であるVLSI ResearchのCEO(最高経営責任者)で、半導体装置のベテランアナリストであるG. Dan Hutcheson氏は、「450mmはおそらく今後5〜10年間は実用化されないだろう。ただし、半導体装置メーカー間の合意次第で、その動きが復活する可能性もある」と述べる。
IntelやTSMC、GLOBALFOUNDRIES、IBM、Samsung Electronics、ニューヨーク州立工科大学(SUNY Polytechnic Institute)が参加して450mmウエハーへの移行を目指す共同研究開発プログラム「Global 450 Consortium(G450C)」は、「今はフェーズ2に移行するタイミングではない」として、2016年末から秘かに同プログラムの段階的な縮小を進めている。
SUNY Polytechnic Instituteのコンソーシアム&イニシアチブ担当アソシエイトバイスプレジデントを務めるPaul Kelly氏は、EE Timesに対して「G450Cのパートナー企業全社が、450mmに注力し続ける時期ではないということで合意した。ただし、G450プログラム自体は成功だったと全社が確信している」と話す。
半導体装置と材料関連の業界団体であるSEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)が米国カリフォルニア州で開催した「Industry Strategy Symposium(ISS)」(2017年1月8〜11日)では、450mmに関する話題はほとんどなかった。
G450Cのメンバー企業である大手半導体メーカーは数年前、450mmウエハー製造装置を早ければ2018年にも工場に設置できるように要望していた。しかし、「半導体装置メーカーは2000年代初めの300mmウエハーへの移行に伴うコストをまだ回収できていない状態だ。これが450mmへの移行の大きな障壁となっている」とHutcheson氏は述べている。同氏は、「当時はウエハーの大口径化によって、装置の需要が大きく減少し、半導体装置メーカーの事業が悪化した」と説明した。
Hutcheson氏は、「300mmウエハー装置の投入がこうした事態を招いたことから、装置メーカーは450mmへの移行をためらっている」と述べている。
同氏は、「当初450mmウエハーへの移行が推進された背景には、半導体業界がムーアの法則を継続できない場合、半導体メーカーは売上高を上げるために別の策が必要になると考えられていたことがある。だが、ムーアの法則は“明らかな終わり”を迎えたわけではない」と付け加えた。
加えて、過去数年間の半導体業界の成長は緩やかであり、過去に必要とされていたような生産量の大幅な拡大は必要ない。大口径ウエハーの十分な需要がないまま450mm対応工場を建設すれば、半導体メーカーは300mm工場の稼働を停止せざるをえなくなる。
「450mmへの移行に対して業界が以前ほど積極的ではなくなったのは、あまりにも先の話であるためだ」とHutcheson氏は言う。
大手半導体装置メーカーのApplied Materialsは、過去数年間の間に450mmに対する業界の興味が薄らいだことを受け、450mm関連のプロジェクトを保留しているという。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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