日本電産は、2017年3月期第3四半期の決算説明会を開催した。売上高は前年同期比3.0%減となる8682億2800万円、営業利益は同17.6%増となる1061億9700万円、純利益は同17.4%増となる816億3800万円となった。これに伴い、通期の業績予想を上方修正した。
日本電産は2017年3月期第3四半期の決算説明会を都内で開催し、会長兼社長の永守重信氏が「為替など外部環境の影響で、経営は左右されてはいけない」と力強く語る。
第3四半期までの累計(2016年4〜12月)業績は、営業利益、税引前利益、純利益において過去最高を更新。売上高は前年同期比3.0%減となる8682億2800万円、営業利益は同17.6%増となる1061億9700万円、純利益は同17.4%増となる816億3800万円となった。好調な業績推移に伴い、営業利益などにおける通期の業績予想を上方修正した。
対ドル平均為替レート(1ドル当たり106.63円)は前年同期比約12%の円高、対ユーロ平均為替レート(1ユーロあたり118.02円)は同12%の円高となり、為替の変動によって売上高で約1010億円の減収、営業利益では約157億円の減益要因となったという。
また第2四半期と比較して、第3四半期に33億円支出が増えたことに対して、永守氏は「第3四半期だけで約500人新たに採用したことによる影響」と語る。
第1四半期からIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)分野などにおける技術者の採用を強化しており、計1000人規模の採用を目指している。人件費だけで約12億円、採用に伴う関連費用で約6億円。計18億円を人材採用で新たに計上した。
また、テレビコマーシャル(TVCM)など学生に対する知名度向上へ向けた取り組みも強化。広告宣伝費として約2億円計上した。永守氏は「100万円札を投げ捨てるようにTVCMを出している」と笑い、「新卒応募者が急増するのではないか」とする。
同社が、2020年に向けた中期戦略目標「Vision2020」で掲げるのは連結売上高2兆円、営業利益3000億円達成である。営業利益3000億円達成に向けては、永守氏が掲げる三大経営手法(マイクロ・マネジメント)を徹底することで、さらなる収益改善を目指していく。三大経営手法とは「井戸掘り経営」「家計簿経営」「千切り経営」を指す。
事業別で見ると、車載事業と家電・商業・産業用事業では、自律成長による売上高6000億円が視野に入っているという。精密小型モーター事業はPCや光ディスク向けHDDモーターの需要減が進む中、なかなか新製品でカバーできない状況が続いていた。しかし、「その他小型モーター(振動・触覚含まず)」に含まれるモジュール化した新製品が年率2桁超で成長しており、2020年に売上高6000億円、営業利益率20%を達成できる見込みだ。「2020年連結売上高2兆円の目標までの確度が上がった」(永守氏)と語る。
「HDD業界全体の売上高は、今後横ばいになるだろう。そのためHDDモーターの数量は漸減(ぜんげん)すると思うが、容量増加が進み平均単価は上がると予想している。第3四半期の実績も大幅な上振れとなっており、年間ベースの予想値も上方修正した。2020年までのHDDモーター売上高は、ほぼ横ばいになると考えている」(永守氏)
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