ドナルド・トランプ政権の政策により、米国において、TSMCやFoxconn Technology Groupなどアジア系サプライヤーの投資が増加すると見込まれている。
ドナルド・トランプ政権によるイニシアチブへの期待から、米国における投資は増加傾向にあるが、TSMCをはじめとするアジア系の技術企業が、そうした動きに貢献する可能性がある。
TSMCは今週(2017年3月20日の週)、既にチェアマンのMorris Chang氏が言及している通り、早ければ2018年に米国で新しい製造施設を建設する計画であることを明らかにした。トランプ大統領が雇用創出を強く推進する中、複数のグローバル企業が米国で製造を行うことを検討しているが、TSMCもそこに加わる可能性が出てきた。
TSMCの元主席弁護士であるDick Thurston氏によると、Appleをはじめとする企業や、TSMCおよびFoxconn Technology Groupなどのアジア系サプライヤーは、トランプ政権による税制上の優遇措置などに期待して、米国における投資をさらに促進するとみられるという。
Thurston氏は、EE Timesによるインタビューの中で、「トランプ大統領は今後、新しい連邦判事を多数任命する機会を得るだろう。米国は、自国や台湾の技術を侵害する中国からの輸入を停止する手段として、“差し止め”という措置を行うとみられる。救済策のつもりだろう。影響を受けるのは中国ということだ」と語った。
Thurston氏は、TSMCやFoxconnは既に高度に自動化された製造プロセスを導入しているため、この2社自体が雇用率の押し上げに寄与することはないと述べた。だが、主要な材料、部品、物流などのインフラを提供する企業が雇用数を増やす可能性はある。Thurston氏は2017年2月、同氏が最近入社した国際的な法律事務所であるDuane Morrisの代表として、台湾に滞在していた。
TSMCは20年前、オレゴン州ポートランドから30分ほどの郊外、ワシントン郡キャマスにある工業地帯「Silicon Forest」に、「WaferTech」と呼ばれる製造施設を建設した。WaferTechは同社が米国に置く唯一の製造拠点であるが、100万平方フィートに及ぶ敷地の中には、13万平方フィートものクリーンルームが設置されている。
Foxconnは2017年1月、70億米ドルもの資金を投じて米国に液晶ディスプレイ製造工場を建設する計画を明らかにした。この計画が実現すれば、トランプ政権が誕生して1年以内に、米国内で何万もの雇用が創出されることになる。Foxconnは中国最大の雇用主として、Appleの「iPhone」からZTEのスマートフォンまで、さまざまな製品を組み立てる労働者を何百万人も抱えている。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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