京セラは2017年5月2日の決算説明会で、2017年3月期の業績と2018年3月期の業績予想を発表した。2017年3月期の売上高は為替変動などの影響で前期に比べ減少した。だが、2018年3月期は半導体関連部品や電子デバイスを含むほぼ全ての事業セグメントで増収増益を見込む。
京セラは2017年5月2日に決算説明会を開催した。同社の発表によると、2017年3月期の売上高は940億円の為替差損が響き、前期比3.8%減の約1兆4200億円。一方、営業利益は原価低減の成果が出て、前期比12.8%増の約1000億円。税引き前当期純利益は260億円の為替差損に加え、前期に保有資産の売却益200億円計上していたこともあり、前期比5.3%減の約1370億円だった。
円高などの影響がなければ、2017年3月期は売上高と税引き前当期純利益ともに前期を上回ったとする。京セラ社長の谷本秀夫氏は、「売上高は2017年1月末の予想を上回り、税引き前当期純利益は期初の予想を上回った」という。
2018年3月期通期業績予想は売上高が2017年3月期比5.4%増の1兆5000億円、営業利益が同14.8%増の1200億円、税引き前当期純利益が同8.8%増の1500億円。事業セグメント別では、半導体関連部品や電子デバイスを含むほぼ全ての部門で増収増益の見込みだ。谷本氏は、「2017年はスマートフォンの高機能化、IoTの普及加速、半導体産業市場での生産活動の活発化が進む。これらの市場に対して、積極的に売上拡大を図る」と語った。
京セラは半導体製造装置市場が2017年に前年比9.3%増加すると見込み、同社が展開する半導体製造装置向けセラミック部品の2018年3月期の売上高を前期比1.3倍に拡大させるつもりだ。そのため、半導体製造装置向けセラミック部品の国内外3工場の生産力増強を進めている。その一環として、米国のワシントン工場に完成した新棟を2017年4月に稼働させた。
半導体関連部品については、2018年3月期の売上高を前期比0.9%増の2480億円、利益を前期比2.7%増の260億円と見込んでいる。大容量サービス(動画、SNS、クラウド)の世界的な普及の他、IoTの進展に伴い、通信インフラの整備やデータセンターの急増が進んでいるためだ。ネットワーク基幹、データセンター、基地局向けの旺盛な需要に対応し、セラミックパッケージ、有機パッケージ、高多層基板の売上拡大を狙う。
一方、2018年3月期の電子デバイス部門の売上高は前期比5.5%増の2540億円、利益は前期比8%増の330億円となる見込み。京セラは2017年4月に京セラクリスタルデバイスと京セラコネクタープロダクツを統合。リソース統合による製品開発の強化、生産技術の共有による生産性の向上、営業部門統合による販売力の強化などの相乗効果の創出を図る。同社はスマートフォン市場、自動車関連市場、産業機械市場に向け、コンデンサー、SAWデバイス、パワー半導体、水晶デバイス、コネクターなど、多彩な製品ラインアップを提供していく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.