IMECのプロセス技術関連のベテラン専門家であるAn Steegen氏が、2017年の半導体ロードマップを発表し、半導体プロセスの微細化に対し楽観的な見方を示した。
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ベルギーの研究開発機関IMECのプロセス技術関連のベテラン専門家であるAn Steegen氏が発表した、2017年の半導体ロードマップには、右上端に、新しいプロセス技術である「14Å(オングストローム)」が示されていた。14Åプロセス技術とはつまり、2025年に2nmプロセス技術の0.7倍の微細化が実現される見込みであることを示しているため、Steegen氏が引き続き、半導体プロセスの微細化に対し楽観的な見方をしているということが分かる。
Steegen氏は、2017年5月16〜17日にベルギー・ブリュッセルで開催された「IMEC Technology Forum」においてインタビューに応じ「われわれは現在も、さらなる技術開発の実現に向けて取り組みを進めているが、その実現方法は、従来とは大きく異なる可能性がある」と述べている。
14Åプロセス技術は、この先、原子極限が近づくということを示唆している。半導体に使われている元素の中でも比較的大きいとされるヒ素原子1個当たりの寸法は、約1.2Åである。
将来的には、14Åの実現が近づくにつれ、1つのダイ上で、FinFETと、ナノワイヤやトンネルFET、スピン波トランジスタなどが組み合わされるようになるだろう。さらに、さまざまな種類のメモリの試験が行われ、新しい種類の非ノイマン型(von Neumann)コンピュータ向けの半導体チップが開発される可能性もある。
Steegen氏は、「EUV(極端紫外線)リソグラフィが7nmプロセスから使われ、FinFETは5nm/3nmプロセスまで使え、その途中の段階でナノワイヤトランジスタが出現するとみられている」と予測する。
Steegen氏は、「ハードウェア開発に携わっている技術者たちは、2020年初めにはEUVが実用化される見込みだとする確信を高めている。これまで長年にわたって取り組んできた結果、安定した時期が来るメドを付けることができたのだろう」と述べている。
IMECは、他に先駆けてEUV装置の試作機を導入し、現在もベルギー・ルーベン近郊の研究施設において、研究開発を進めているところだ。
このような最先端技術の開発に取り組んでいる技術者たちは今後、自分たちの設計が、液浸ステッパーまたはEUV装置のどちらに適用される可能性があるのかを確認する必要があるだろう。自社の半導体チップをレクチルの限界まで推進していく企業は、EUVを使用することにより、自社技術の微細化をもう少し先まで進めるとみられる。
トリプルないしクアッド液浸パターニングは、低開口数だが、40nmを下回るピッチを実現する上で必要とされるだろう。このため近い将来、設計ルールが簡素化されることはないとみられる。
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