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ワイヤレスジャパン2017

LTE/4G活用のV2Xで自動運転をサポートC-V2X/コネクテッドカー(1/2 ページ)

Nokiaの日本法人であるノキアソリューションズ&ネットワークス(以下、ノキア)は東京都内で記者説明会を行い、セルラーV2X、コネクテッドカーに関する最新動向や応用事例などを紹介した。

» 2017年05月25日 10時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

2018年にはトライアルが活発に

 Nokiaの日本法人であるノキアソリューションズ&ネットワークス(以下、ノキア)は2017年5月23日、東京都内で記者説明会を行い、セルラーV2X(Vehicle to X)/コネクテッドカーに関する最新動向や応用事例などを紹介した。この中で同社は、「5Gの開発を待っていると、コネクテッドカーの実用化時期はさらに遅くなる。現行の4G技術を活用して、システム開発に取り組むことが重要である」と述べた。

ノキアベル研究所の研究員で5Gオートモーティブアソシエーション(5GAA)のバイスチェアを務めるThierry Klein氏

 説明会では冒頭、ノキアベル研究所の研究員で「5G Automotive Association(5GAA)」のバイスチェアを務めるThierry Klein氏がテレビ会議で説明会に参加、5GAAの最新動向やノキアの役割、取り組みなどを説明した。

 5GAAは2016年9月に設立を発表、テレコム業界と自動車業界という異なる2つの産業を結び付ける役割を担ってスタートした。使用する周波数や通信方式の規格化、応用事例などをとりまとめ、両業界に提案し情報を共有することで、完成度の高いコネクテッドカーの実現を目指す。

 Klein氏は、「完全な自律走行を可能とするためには、センサー技術や制御技術のさらなる向上、進化が不可欠である。その上で、より安全で快適な自動運転車を実現するための補完的な情報を、コネクティビティ技術によって提供していく。こうしたエンドツーエンドの通信を可能とするのがセルラーV2Xである」と述べた。

 5GAAは設立当初、8社でスタートした。その後、世界の主要なネットワークオペレーターや自動車メーカー、Tier1などが加入。2017年5月末のメンバー数は47社まで拡大している。日本からはデンソーやパナソニック、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクなどが参画している。しかし、日本の大手自動車メーカーはまだ5GAAへの参加を表明していない。「5GAAは完全にオープンな団体である。個人的には日本の自動車メーカー担当者と意見交換している。継続的な話し合いが必要」(Klein氏)と述べた。

現時点での主な5GAAメンバー (クリックで拡大) 出典:ノキア

 5GAAが提唱するセルラーV2Xに向けて、すでに「3GPP リリース14」が公表されている。「2017年後半から2018年にかけて、トライアルが一層活発になる」(Klein氏)とみている。周波数は免許不要の5.9GHz帯を利用する。主な用途は、V2I(Vehicle to Infrastructure)、V2N(Vehicle to Network)、V2V(Vehicle to Vehicle)、V2P(Vehicle to Pedestrian)など、その応用範囲は広い。

セルラーV2Xの主な用途 (クリックで拡大) 出典:ノキア
セルラーV2Xの主な応用事例 (クリックで拡大) 出典:ノキア

 Klein氏は、セルラーV2Xの優位点についても述べた。「無線機能で見ると、DSRC(Dedicated Short Range Communications、狭域通信)に比べて通信エリアが広い。運用面では移動体通信ネットワークと同じインフラやエコシステムをコネクテッドカーにも活用することができ、ビジネス上の利益もある」点などを挙げた。

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