新日本無線は2017年6月9日、最大512倍のゲイン倍率を実現し、8ピンパッケージを採用したアナログフロントエンド(AFE) IC「NJU9103」の量産を開始したと発表した。
新日本無線は2017年6月9日、圧力計や流量計など各種センサーのアナログ信号処理が行える汎用的なアナログフロントエンド(AFE) IC「NJU9103」の量産出荷を開始したと発表した。同AFE ICは、16ビット分解能のA-Dコンバーター(ADC)の他、ゲイン倍率を最大512倍まで選択できるプログラマブルゲインアンプ(PGA)を搭載する。サンプル価格は250円。
新日本無線は、モノのインターネット(IoT)化などを見据え、センサーとマイコン(MCU)間に位置し、アンプやフィルター、ADCなどで構成されるアナログ信号処理回路向け製品の強化を行っている。その一環として、1年ほど前に、16ビット分解能を持つADCコアを開発。同ADCコアとアンプ、フィルター類を1チップに集積したAFE ICの製品ラインアップを拡充している。
今回、量産出荷を始めたNJU9103は、同社AFE ICの第3弾製品。「第1弾は、ガス検知用途向け、第2弾は漏電遮断機向けと、用途特化型のAFEだったが、第3弾はさまざまなセンサーと組み合わせて使用できる汎用的なAFEとして製品化した」(同社)という。
特長は「同等品では最大128倍までだった」(同社)という、PGAのゲイン倍率を最大512倍にまで高めた点。「感覚的には、128倍までで8割程度のセンサーに対応できるが、残り2割程度のセンサーは128倍では不十分で、AFE ICの外部に、ゲインを2倍、4倍にするため外付けアンプが必要だった」(同社)とし、AFE1個で対応できる用途を広げた。なお、アンプのゲイン倍率を単純に高めた場合、増幅誤差が大きくなるが、NJU9103は、アンプを2段構成にし、誤差の増大を抑制したとする。
また、ゲインを大きくする場合、センサー出力のオフセットも増幅する。そこで、NJU9103は、内蔵するD-Aコンバーター(DAC)でセンサーのオフセットと逆の電圧を生成し加算することで、オフセットを減算する(取り除く)センサーオフセット補正機能を持たせた。DACで生成するオフセット補正用電圧の値は、マイコンなどのホスト側からSPI経由で設定でき、周囲温度変化に応じたオフセット補正なども行える。
パッケージは8ピンのリードありパッケージ(SSOP8、3.5×6.4mmサイズ)と、リードなしパッケージ(ESON8-V1、2.3mm角サイズ)を採用。「競合品の多くは、16〜24ピンパッケージを採用している。その中で、NJU9103は、あえて搭載機能を必要最小限にとどめ、小型パッケージを採用した。「小型化が進む流量計などの用途ニーズを満たすとともに、シンプルで幅広い用途に適用できる使いやすいAFEとして仕上げた」(同社)
NJU9103が対応する入力方式は差動、シングルエンド、疑似差動。変換データレートは、0.814〜6.51kサンプル/秒。変換モードは、シングル変換ないし連続変換となっている。
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