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サンケン電気、独自GaN搭載ICを公開 パウデック買収で差別化加速PCIM Expo & Conference 2026

サンケン電気は世界最大規模のパワーエレクトロニクス展示会「PCIM Expo & Conference 2026」において、独自のPSJ(Polarization Super Junction:分極超接合)GaN技術を採用したダウンコンバーターIC(試作品)のデモを公開した。注力領域として積極投資を進めるGaN事業において、独自技術を生かした製品開発が着実に進んでいることを示した。

» 2026年07月01日 09時15分 公開
[永山準EE Times Japan]

 サンケン電気は世界最大規模のパワーエレクトロニクス展示会「PCIM Expo & Conference 2026」(2026年6月9〜11日/ドイツ・ニュルンベルク)において、独自のPSJ(Polarization Super Junction:分極超接合)GaN技術を採用したダウンコンバーターIC(試作品)のデモを公開した。注力領域として積極投資を進めるGaN事業において、独自技術を生かした製品開発が着実に進んでいることを示した。

PSJ(Polarization Super Junction:分極超接合)GaN技術を採用したダウンコンバーターIC(試作品)のデモ PSJ(Polarization Super Junction:分極超接合)GaN技術を採用したダウンコンバーターIC(試作品)のデモ[クリックで拡大]

 サンケン電気は2025年4月に、高耐圧GaN技術を開発するパウデックを買収し、同年10月に吸収合併した。これによって獲得したPSJ GaN技術とこれまで培ってきた自社技術/ノウハウを組み合わせた、競争力ある製品の開発を進めている。同社はGaNをパワーデバイス事業の柱の1つとして強化していく方針だ。

 一般的なGaN HEMTでは、電界集中による耐圧限界や電流コラプスが課題となる。これに対しサンケン電気が有するPSJ GaN技術では、GaN/AlGaN/GaNのヘテロ接合による分極特性を利用して電界集中を抑え、高耐圧化と低オン抵抗化を両立できる。さらにサファイア基板を採用することで、シリコン基板を用いた場合と比較してGaNレイヤーを大幅に薄膜化できるため、高耐圧化に加え、コスト競争力の向上にもつながるとしている。

 PSJ GaN技術では1200Vや1700Vといった高耐圧化も可能であり、同社はパワーマネジメント技術やパッケージ技術と組み合わせた、扱いやすい高耐圧のIPM(Intelligent Power Module)などを展開し、差別化を図っていく計画だ。

 なお、サンケン電気がPCIMに出展するのは2025年に続き2回目となる。初出展だった前回は小規模なブースで、GaN製品の実物やデモ展示はなかった。今回はイタリアのElectronics商社Melchioni Electronicsとの協賛によりブース規模を拡大。PSJ GaN技術の概要や製品投入スケジュールをパネルで大きく紹介したほか、GaNウエハーやGaN搭載ダウンコンバーターICの試作品デモを公開するなど、GaNへの取り組みを強くアピールしていた。

展示したGaNウエハー。左はGaN on シリコンウエハーで、右の透明な方がGaN on サファイアウエハーだ 展示したGaNウエハー。左はGaN on シリコンウエハーで、右の透明な方がGaN on サファイアウエハーだ[クリックで拡大]

 展示した「STR5M4G0」は、高耐圧PSJ GaNを採用した民生向け非絶縁ダウンコンバーターICの試作品で、動作デモも公開していた。なお同社はEE Times Japanの以前の取材でもこのICについて、概要を示していたものだ。ただ、サンケン電気はまずGaN製品について、IPMの製品化から進めていく方針だ。今回展示していたダウンコンバーターICについては「高耐圧という特徴を生かせる市場を模索している段階だ」と説明していた。

サンケン電気が展示したダウンコンバーターIC「STR5M4G0」デモの回路図 左=サンケン電気が展示したダウンコンバーターIC「STR5M4G0」のデモ/右=デモボードの回路図[クリックで拡大]

 具体的な製品展開については、まず2026年度下期にエアコンのコンプレッサー向け15A品のハーフブリッジドライバーを投入する計画だ。その後、2027年度上期には3A、2027年度下期には5AのGaN IPMおよび、「SIM2」パッケージ採用の20A品、30A品などへとラインアップを拡充する予定としている。

GaN製品のロードマップ GaN製品のロードマップ[クリックで拡大]

 サンケン電気は、2028年度以降には中電流領域の白物/産機向けIPMを展開していく計画だ。また、適用市場の拡大も進める考えで、AIデータセンター向けへの展開も予定している。さらに、大電流領域の自動車/産業機器向けモジュールへの適用を見据え、縦型GaNの研究開発も進めていて、2030年度の量産開始を目指している。民生分野向けIPMを出発点とし、高耐圧GaN市場へ展開を広げていく考えだ。

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