Qualcommは、大きく変化しつつあるオーディオ市場を踏まえ、オーディオ機器の開発向けに5つの新しい製品群を発表した。顧客が、Time-to-Marketの短縮と、ローエンドからハイエンドまでのチップをそろえ、設計の柔軟性を実現できるよう、貢献したいとする。
Qualcommは2017年6月20日、東京都内で記者説明会を開催し、同社の「Voice & Music」事業について紹介した。Voice & Music事業部は、ワイヤレスヘッドセットやBluetooth対応スピーカー、スマートスピーカー、ホームシアターなどに向けた製品群の開発を手掛けている。
Qualcommのシニアバイスプレジデントで、Voice & Music事業部のジェネラルマネジャーを務めるAnthony Murray氏は、近年のオーディオ業界におけるトレンドについて、「消費者がストリーミングで音楽を聞くようになったり、ワイヤレスヘッドフォンやワイヤレスイヤフォンを使うようになってきたりしている。その他にも、イヤフォンジャックがないスマートフォンの発売、ヒアラブルデバイスやボイスコントロールの登場など、オーディオを取り巻く環境が大きく変化している」と語る。
Qualcommは、こうしたトレンドに対応した機器を開発しやすいよう、5つの新しいプラットフォームを発表した。
まず、最新のBluetooth SoC(System on Chip)「CSRA68100」だ。Qualcommが提供するBluetooth SoCの中でもトップクラスの「プレミアム」(同社)製品として位置付けるもので、ハイエンドのヘッドセットやスピーカーなどの用途に向ける。最大の特長は、2個のDSP、2個のCPU、2チャンネルのオーディオコーデック、LEDドライバ、チャージャーなど、多くの回路を搭載している点だ。DSPとCPUを1個ずつ搭載した既存の「CSR8675」に比べて、処理性能が約4倍に向上したとする。NAND型フラッシュメモリを内蔵しているタイプと、拡張しやすいように外付けできるタイプの2種類がある。外付けのタイプは、ROMを内蔵している。
これとは対照的なのが、BluetoothオーディオSoC「QCC3xxx」である。こちらはローエンドからミッドレンジのヘッドセットやスピーカー向けのSoCで、回路をほとんど作り込んでおり、カスタマイズ性が少ないものになっている。「Time-to-Marketの短縮を最優先する機器メーカー向けの製品で、同SoCを使えばすぐにBluetooth対応ヘッドセット、スピーカーを開発できるようになっている」(Murray氏)
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