まず、オフィスにいる社員全員に17:30〜21:00までの任意の時間に帰宅してもらいました。
このシミュレーションでは、上長も、乱数で決められた時間で帰宅しています。おおむね、時刻に対して、線形的にオフィスの人間が帰宅しており、21:00には全員帰宅していることが確認できます。
さて、今回は「部長1人」だけに着目してシミュレーションを行いました。「部長」以外の社員については、一切のパラメータに手を付けていません。「部長1人」だけで、どれほどの影響が出るかを見るためです。
まず、最初に、部長1人だけを、強制的に21:00まで残業させました。
たったこれだけのことで、すごい影響がでています。もうオフィス全員が、部長が帰宅して欲しいのを、ウズウズと待っている感じが、もろに表れています。そして、部長が帰宅するやいなや、全員がいきなり帰宅準備に入っているという、なんともエゲつない状況が見て取れます。
では今度は、部長の帰宅時間を、1時間ずつズラしてシミュレーションをしてみましょう。すると、さらにひどい状況が明らかになってきました。
このシミュレーションでは(そのように仕向けたとはいえ)、“部長という存在”があるだけでこんなにも「時間外労働」を助長していることが明らかになりました。
今回のシミュレーションでは、「課長の残業」や、あるいは「オフィスに残って仕事を続けている仲間の数」については、コーディングしていません。しかし、これらの要素を加えれば、このオフィスのトータルの残業時間が、さらに悪化するであろうことは、明々白々です(来月、そっちのシミュレーション結果も出します)。
「働き方改革」とは、何の目的で、誰が、誰のためにやっていて、そして、どこの誰が、その改革を邪魔しているのか ―― 私は、これから、数字とシミュレーションで、その姿を明らかにしていきたいと考えています。
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