横河メータ&インスツルメンツ(以下、横河M&I)は2017年7月14日、1台で単相2線交流電力を校正できる機能や複数台同時制御機能を備えながら、価格を抑えた交流電力校正器「LS3300」を発売した。
横河メータ&インスツルメンツ(以下、横河M&I)は2017年7月14日、1台で交流電圧、交流電流を同時出力できる交流電力校正器「LS3300」を発売した。電力計の校正に特化した機能構成で、220万円(税別)という本体価格を実現した。2017年度100台、2018年度150台の販売を目指す。
電力計やデジタルマルチメーター(DMM)などの計測器の校正に用いる校正器は、交流電流ないし交流電圧のいずれか一方を出力するタイプと、交流電圧、交流電流を同時に出力でき、複数台を同期させ三相交流電力の校正にも対応するタイプが存在する。前者は、単機能なため校正器1台当たりの価格は手ごろだが、単相2戦交流電力を校正する場合、校正器を複数台用意し、調整を行う必要が生じた。一方、後者は、直流電力や温度などの校正機能も備える多機能、高確度の校正器がほとんどで、導入コストが高い上、取り扱いも難しかった。
横河M&Iが発売した交流電力校正器LS3300は、交流電圧、交流電流の同時出力に対応しながらも、機能を交流電力計の校正用途に必要なものに絞った校正器。確度も、使用頻度の高い0.15〜0.2%クラス電力計の校正が行える、交流電力値で±0.045%とした。「従来の多機能校正器は、0.15〜0.2%クラス電力計の校正用途としては過剰に高い確度を持っていたので、適正な確度に抑えた」(横河M&I)とする。こうした工夫、機能の絞り込みにより、220万円という本体価格を実現。「従来の多機能校正器に比べ3分の1以下の価格」(同社)とする。
価格を抑えた一方で、電力計の校正作業を効率化する機能については充実させた。最大3台まで同時接続でき、単相3線交流電力や三相交流電力を測定する電力計を測定可能。さらに、標準機能として複数台制御機能を搭載。複数台接続時は、各校正器をマスター、スレーブの役割に設定でき、マスターに出力条件を入力するだけで電圧、電流、力率、位相などの平衡条件となる値の設定がスレーブに対し自動で行われる。「従来の多機能校正器でもなかった機能であり、これまでは機器ごとに設定作業が必要だった。複数台制御機能により、単相3線交流電力や三相交流電力の校正作業効率は大きく高まる」(横河M&I)としている。
発生範囲は、交流電圧が10mV〜1250V、交流電流が0.3mA〜62.5A、周波数が40〜1200Hz。「大電流対応はオプションでの対応が多いが、LS3300は標準で最大62.5Aになっている。3台同時使用で、最大180Aという大電流出力が行え、大電流が必要なシャント抵抗電流センサーやスマートメーターなどの校正にも対応できる」(横河M&I)
横河M&Iでは「ISO9001をはじめとした国際標準規格に対応した品質マネジメントシステムの導入が進み、測定器の校正ニーズは高まっている。校正機関や校正受託企業をはじめ、家電メーカーなど社内校正を実施している企業、計測器やスマートメーターのメーカーなどに向けて広く販売する」としている。
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