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アイデアで微細化の進展を補う、米国防機関半導体産業の発展に注力する米国(1/2 ページ)

“ポスト・ムーア”の時代に備えて、半導体技術の進展に力を入れる米国。米国防高等研究計画局(DARPA)は、「多様な創造性で微細化の進展を補う時代へと向かっている」と語る。

» 2017年08月02日 11時30分 公開
[Rick MerrittEE Times]

多様な創造性で微細化の進展を補う

Bill Chappell氏

 エレクトロニクス産業の活性化実現への道を模索する、2億米ドル超規模の政府プログラムの責任者を務めるBill Chappell氏が、「Summer of Listening」を実施した。同氏は、ムーアの法則を置き換えるための手法を見つけようとしているのではなく、あらゆるものを再編成することにより、半導体の性能をさらに向上させるための代替手段を幾つか生み出したいと考えているようだ。

 Chappell氏は、「Electronics Resurgence Initiative(ERI)」に関するインタビューの中で、「CMOS微細化のように、たった1つの要素で、指数関数的な成長を実現できるとは思わない」と述べている。

 さらに同氏は、「われわれは現在、ハードウェアとソフトウェアの協調設計や、新材料、機能ブロック、各アプリケーションの専門化など、さまざまな要素が進化する時代へと向かっているところだ。現時点でアイデアはたくさんあり、多様な創造性によって微細化の進展を補うことが可能な、非常に面白い時代だといえる」と述べる。同氏は、米国防高等研究計画局(DARPA)でマイクロシステムグループ担当ディレクターを務める人物だ。

 さまざまな業界の経営幹部たちは、米国テキサス州オースティンで2017年6月18〜22日に開催された「Design Automation Conference(DAC)」において、Chappell氏が主催したミーティングの中で、初めてERIのことを知ったという。このミーティングには、Analog DevicesやARM、Cadence、IBM、Intel、Qualcomm、Synopsys、TSMC、Xilinxなどの企業から、約60人が参加した。

 NVIDIAでアーキテクチャ研究担当バイスプレジデントを務めるSteve Keckler氏は、同イベントにおいて、GPU設計者とDARPAとの協業について語り、「これまでDARPAとの関わりがなかった業界リーダーたちに向けた、プログラムへの序論だ」と述べている。

 また同氏は、「ERIは、これまでDARPAと協業したことがない多くの企業にとって、幅広いパートナー企業との連携によって製品を市場投入することができるチャンスとなるだろう」と述べる。

 DARPAは2017年7月、米国カリフォルニア州サンノゼで2日間にわたり、大手半導体メーカーとの協業によって、パートナー関係の構築をサポートするためのミーティングを開催した。同ミーティングには、約45社の企業と、10社の軍事関連の請負業者の他、さまざまな大学などから、約300人の参加者が集まった。

 Chappell氏は、イベントの休憩時間中に、「ある程度の強制力を持つ取り組みが始動したといえる」と語っている。

 DARPAは以前に、米国ワシントンD.C.において、軍事関連の請負業者たちとのミーティングを主催し、さまざまなアイデアを引き出そうと試みている。最も優れたコンセプトに関しては、ERIプログラム担当マネジャーで構成されるチームが、2017年9月に予定されている正式な提案要求において採用する見込みだという。DARPAは、今後7カ月の間に、勝利を獲得したプロジェクトに関する契約の選定や交渉などを行い、その後実際に資金提供を受けてから、懸命な取り組みを開始する予定だとしている。

 Chappell氏は、プログラムが今後約4年間で完了した時点で期待される成果について、以下のような概要を説明している。

 「エレクトロニクス開発に関わるチームの規模はかなり小さくなり、垂直統合型メーカーやアプリケーションメーカーなどが、より多くの回路設計を手掛けるようになるだろう。また、半導体設計プロセスの複雑性がさらに増し、本質的な変化が生じる成熟分野になるとみられる。また、機械学習(マシンラーニング)などのさまざまな技術によって、実在性の検証が自動化されるようになる他、エンジニアたちがチップを統合して、多彩な機能を実現できるようになるだろう。さらに、新材料の採用により、市場投入までの開発期間を短縮することが可能になるとみられる」(同氏)

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