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クアルコム、SnapdragonをIoT市場へモバイルで得た知見を生かし(1/2 ページ)

Qualcommが、これまでスマートフォン向けに提供してきたハイエンドSoC(System on Chip)「Snapdragon」をIoT(モノのインターネット)機器市場にも投入する。

» 2017年08月30日 09時30分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]

モバイルで培われた技術をIoT分野でも

 Qualcommが、同社のSoC(System on Chip)「Snapdragon」をIoT(モノのインターネット)市場に展開する。

 QualcommのSnapdragonは、スマートフォン向けアプリケーションプロセッサの“代名詞”の1つと言っても過言ではないほどの存在だ。市場調査会社のStrategy Analyticsによれば、2017年第1四半期におけるシェアは43%でトップに立っている。

クアルコムCDMAテクノロジーズの須永順子氏

 クアルコムCDMAテクノロジーズの副社長を務める須永順子氏は、2017年8月24日に開催した記者説明会で、「モバイルとIoT機器は、共通の技術が数多くある。モバイル市場で蓄積した良質な技術をIoTの分野でも使っていただきたい」と語った。

 QualcommがSnapdragonで狙うIoT市場は、「モバイル、コンピューティング、自動車以外の全て」(須永氏)だという。

 ただ、IoT業界とモバイル業界は、販売体制や製品開発が大きく異なる。

 例えば、販売体制では、顧客の数、販売数量、製品ライフサイクルなどが違ってくる。そのため、「顧客に直接販売する方法とは異なる体制が必要になる。当社は、販売数量の柔軟な対応や製品の長期供給など、IoT業界に適した体制を整えている」と須永氏は説明する。対応の1つとして、米国のディストリビューターであるArrow Electronicsとの協業がある。2015年には、Arrow Electronicsとともに開発した、開発者向けのボード「DragonBoard」の販売を開始した。2016年には、長期供給を行う「Snapdragon 600E」「Snapdragon 410E」を発売した。

 製品開発の面では、スマートデバイスを開発したことのない企業が数多く参入していることが、IoT業界の大きな特徴となる。そのため、多種多様な製品開発が求められ、スマートフォンメーカーとは異なる製品開発プロセスやサポート体制が要求される。Qualcommが狙うのはまさにこうした企業だ。これまでSnapdragonを使ったことがない企業に、同SoCを使ってもらいたいと須永氏は強調する。

 Qualcommは、IoT機器の開発に向けたプラットフォームとして、スマートウォッチやVR(仮想現実)ヘッドセット、ドローン、スマートホーム向けシステムといったリファレンスデザインを既に25種類以上、提供している。VRヘッドセットのリファレンスデザインには、最新のスマートフォンに搭載されている「Snapdragon 835」が使われている。10nmプロセスを適用し、約30億個のトランジスタを搭載したハイエンドのSnapdragonだ。こうしたリファレンスデザインは、Qualcommが独自で開発したものもあれば、ソフトウェアベンダーなどと共同で開発したもの、サードパーティーがQualcommのチップを使って開発したものもあるという。

Qualcommのリファレンスデザインの一例 出典:Qualcomm(クリックで拡大)
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