DRAMとNAND型フラッシュメモリは価格は上昇していて、この傾向は今後もしばらく続くという。
市場アナリストによると、DRAMとNAND型フラッシュメモリの価格は上昇していて、この傾向は今後も続くと予想されるという。多くの人が、現在のメモリ市場の状況を需要と供給の一時的なバランスの崩れによるものと認識していて、3D(3次元) NANDフラッシュメモリの製造が成熟期に達すると、市場が安定すると期待しているようだ。しかし、DRAM市場の供給がいつ改善するかは誰にも分からない。
需要を観測すると、一部の市場セグメントは成長しているものの、キラーアプリケーションや急成長している市場セグメントはない。つまり、問題は供給サイドにあるということだ。
Micron Technologyによると、2017年のDRAMのビット成長率は15〜20%で(下図を参考)、過去20年間で最も低い値になると予想されるという。ビット成長率の低下の要因は、DRAMの製造プロセスの微細化が限界に達していることにある。DRAMの微細化に関するニュースは、ここしばらくない。ビット成長率が45%を下回ると売り手市場になり、DRAM産業の寡占化や、ビット成長の低下、製造工場の拡張の低迷によって長期的な供給不足が起こる。その結果、供給が改善されないまま、DRAMの価格が上昇する可能性がある。
NANDフラッシュ市場では熾烈(しれつ)な競争が起こっている。3D NANDフラッシュによって生産性が大幅に向上するという期待を受け、NANDフラッシュサプライヤーは一斉に3D NANDフラッシュの製造施設に数十億米ドルの投資を行った。その結果、供給過剰に陥ると予想された。この予測は間違っていたことになる。3D NANDフラッシュは、これまで考えられていた以上に製造が難しかった。現在は、一部のNANDフラッシュサプライヤーのみが奮闘し、3D NANDフラッシュを出荷している状態だ。
多くのアナリストは、64層および96層の3D NANDフラッシュの製造が2018年後半に成熟期を迎え、供給不足が緩和されると予想している。
では、2018年にはNANDは十分に供給されるのだろうか。筋書き通りに行けば、プレーナ(平面)型NANDフラッシュの水平方向の微細化(ムーアの法則など)は、ビットセルが2のべき乗で指数関数的に増加する。これに対して、3D NANDフラッシュのセル層の数、つまり垂直方向の微細化では、ビットセルの数が線形で増加する。当面は、プレーナ型NANDフラッシュのビットセル数が、ムーアの法則に基づいて増加することで、需要増に対応することになるだろう。だが、プレーナ型NANDフラッシュの微細化は限界に直面している。
しばらくの間、メモリの価格は下落することはないだろう。需要と供給がアンバランスだからだ。2017年上半期における半導体売上高ランキングの上位5社のうち3社は、メモリベンダーだった。特にSK HynixとMicron Technologyは、DRAMの売上高に大きく依存している。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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