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究極の高密度不揮発性メモリを狙う強誘電体トランジスタ福田昭のストレージ通信(73) 強誘電体メモリの再発見(17)(2/2 ページ)

» 2017年09月05日 10時30分 公開
[福田昭EE Times Japan]
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メモリ特性とスイッチング特性の両方を考慮

 「FeFET(Ferroelectric FET)」あるいは「強誘電体トランジスタ」の基本的な構造は、かなりシンプルである。シリコン基板(シリコンウエハー)の表面には、常誘電体の薄いゲート絶縁膜が載る。その上に、強誘電体の絶縁膜が載り、最上層はゲート電極となる。普通のMOSFETとの違いは、ゲート絶縁膜が2層構造になっただけ、ともいえる。

 ただしトランジスタの設計はかなり複雑だ。普通のMOSFETはスイッチあるいはアンプであり、メモリではない。しかし強誘電体トランジスタはメモリなので、スイッチング特性とメモリ特性の両方が関連する。ゲート電圧、ドレイン電流、ゲートスタックの静電容量、常誘電体膜中の電界、強誘電体膜中の電界、強誘電体のスイッチング特性(分極反転特性)、強誘電体の膜厚と抗電界などを考慮しなければならない。

 例えばメモリウィンドウ(オン状態とオフ状態の差分)は、強誘電体の膜厚と抗電界の大きさに比例する。また書き込みの速度は、スイッチング特性(分極特性)に依存する。

強誘電体トランジスタ(FeFET)の基本的な構造とパラメータ群。出典:NaMLabおよびドレスデン工科大学(クリックで拡大)

 強誘電体トランジスタ(FeFET)の研究は、従来の強誘電体材料であるペロブスカイト系セラミックスと、強誘電性の有機高分子を使い、1990年代後半から活発になってきた。次回は、その歩みをご報告しよう。

次回に続く

⇒「福田昭のストレージ通信」連載バックナンバー一覧

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