ルネサス エレクトロニクスは「R-Carコンソーシアムフォーラム」を開催。この中で、トヨタ自動車が開発する自動運転車にルネサスのソリューションが採用されたことや、中国に「新エネルギー自動車ソリューションセンター」を新設することを発表した。
ルネサス エレクトロニクスは2017年10月31日、「R-Carコンソーシアムフォーラム」を東京都内で開催した。会場で行った記者説明会で、トヨタ自動車が開発中の自動運転車に、ルネサスのソリューションが採用されたことや、中国に「新エネルギー自動車ソリューションセンター」を新設することなどを発表した。
同社は、自動運転時代に向けたコンセプトとして、クラウドサービスからセンシング/車両制御まで、パートナーとの連携によるエンドツーエンドのトータルソリューションを提供する「Renesas autonomy」を提唱している。これは、「エコカー」「コネクテッドカー」「自動運転」という自動車業界の変化と、「オーナーカー」「サービスカー」という新たな潮流を見据えて、同社が打ち出した戦略である。
ルネサス エレクトロニクスの執行役員常務兼オートモーティブソリューション事業本部長を務める大村隆司氏は、「サービスカーの出現により『顧客、キープレイヤー』や『開発TAT(Turn Around Time)』『クルマ作り』が変わる。これらの変化に対応するためにはプラットフォームが必要となる」と判断し、エンドツーエンドのトータルソリューションを提供していくための体制を整えた。
Renesas autonomyで重視しているのが、「Open」「Innovative」「Trusted」である。現在、R-Carコンソーシアムのパートナー数は224社となった。2016年の187社に対して40社近く増えたという。これらのパートナーと連携し、ソフトウェア開発環境をオープンソフトベースで整備、提供し、自動運転を可能とするシステム開発を支援していく。
Innovativeの一例として、ソフトバンクとの協業で実現したコネクテッドカー向けITサービスを挙げた。同社の車載情報システム向けSoC(System on Chip)「R-Car」をソフトバンクの子会社であるcocoro SBの人工感性知能「感情エンジン」に対応させている。運転者の発する声や生体情報などから、クルマが運転者の感情をくみ取り、さまざまな運転環境において最適な対応を行うシステムである。
Trustedの事例としては、トヨタ製新型カムリのインフォテインメントシステムに採用されたAGL(Automotive Grade Linux)搭載のR-Car、日産製新型リーフの自動駐車システム「プロパイロットパーキング」に採用されたR-Carとマイコン「RH850」、などを紹介した。
ルネサスの車載向けビジネスの特長として大村氏は、量産車への採用実績を強調した。同社はセンシングや認識、制御に必要なSoCやマイコン、アナログIC、パワー半導体などを供給している。しかも、2016年度の販売先は海外の顧客が全体の70%を占めるなど、グローバルに事業を展開する。
2017年11月9日にはドイツでR-Carコンソーシアムフォーラムを開催する予定である。これを機に欧州でもエコシステムをベースとした事業を展開していく方針を示した。これらの活動により、各セグメントの世界シェアとして、2022年度までにHMI(ヒューマンマシンインタフェース)向けで50%以上、センシングやコグニティブ、制御向けでそれぞれ30%以上の獲得を目指すという。
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