McClean氏によると、SamsungとHynix、Micronは、特許侵害について比較的許容し合う傾向があるという。これら3社は、多くの特許を持っているため、特許をめぐる争いは誰にとっても得策ではないからだ。McClean氏は、「だが、新たに市場に参入する企業には、このような許容は行われない。韓国では特にそうだ。韓国政府は、SamsungとHynixの2社の技術を国家資産と考えているからだ」と指摘する。
McClean氏は似たような事例として、数年前にSTMicroelectronicsがプログラマブルロジック市場への参入を検討していた当時のことを挙げた。STMicroelectronicは調査の結果、XilinxとAlteraが当時、市場シェアの90%以上を占め、同分野の重要な特許を全て保有していたため、これらの特許を侵害せずに市場に参入する余地はないことに気付いたという。
だからといって、大手メモリ企業が中国の新興企業を気に掛けていないわけではない。実際に、McClean氏は、「Samsungの積極的な設備投資計画(2017年の設備投資額を113億米ドルから260億米ドルに2倍以上も増額している)は、中国企業に対する先制攻撃だ。技術的リードをさらに広げて、中国企業の市場参入を阻止しようとしている」と確信しているという。
だが、McClean氏は結局のところ、中国のメモリベンチャーは、半導体ファンドリー事業と同様それほど成功しないと考えている。2000年に設立され、中国最大のファウンドリーであるSMICは現在、専業ファウンドリー第4位に位置し、2016年の市場シェアは約5%だった。一方、市場リーダーであるTSMCの同年のシェアは59%である。
McClean氏によると、SMICとGrace Semiconductorは創業を開始した当初、世界の専業ファンドリー市場で約13%のシェアを獲得したという。だが現在、中国企業の市場シェアは8%以下に落ち込んでいる。
TSMCは特許侵害訴訟で最終的にSMICを破り、和解の結果、SMICの少数株主になった。
McClean氏は、「中国のメモリ企業は市場で足掛かりを得ると思われるが、その後はファウンドリー分野と同様の結果が待ち受けていると予想される」との見解を語った。
【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】
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